2019年12月15日日曜日

最後の戦いへ

 先週と今週のセンゴク権兵衛の感想。

 遂に権兵衛達も第三の門から突入を開始した。
 土塁の上にいる北条の民兵たちは混乱する。そんな中、老兵が勇気づける為に家族や好いた女子が敵に蹂躙されるぞ、と言う。
 焚き付けられた若者が飛び降り、権兵衛を狙う。しかし、権兵衛の槍の一閃で斃れた。
 
 先を行く、森と鷲見。その眼前に現れたのは正規兵200前後。恐らく、第二門から駆け付けた兵だ。
 鷲見は、大声で黄母衣衆が後詰に来ると嘯いた。
 これを聞き、正規兵の隊長は武装解除をした。

 権兵衛も合流し、正規兵の居る右では無く、左へと進軍を開始する。それを阻止する為に敵の民兵は次から次へと飛び降り、権兵衛を狙う。
 しかし、権兵衛にやられてしまう。権兵衛は逃げるように言うも、敵は向かってくる。
 権兵衛の脳裏には葛と四郎が過る。自分は何と戦っている、誰を殺したのか。
 それは昔の自分。権兵衛の脳裏に稲葉山での戦いが過った。

 さらに進むと二手に分かれていた。権兵衛の勘は行き止まりと告げていた。
 ここは馬出しで、城内と繋がっている木橋が落とされている。そう権兵衛は判断した。
 権兵衛は決断を下す。堀を登って進む事を。
 権兵衛は祈る。これが最後の戦いにならんことを。


 黒川、古屋、太田の三人で階段を組ませる。兵達も赤土に慣れたはずなので上手く上がれるはずである。
 階段が組み上がるまで権兵衛は皆に言った。堀の上は民兵ばかり、逃げる者は逃がし、来る者は叩き落す。そして手強き者のみ討つように、と。
 殺め過ぎれば敵は足掻く、優し過ぎれば味方に隙が生じる。難しいが、既に失敗と内省で分別が備わった。自ずと最善の道が見える。そう言ったのだ。
 
 人と盾で組んだ階段を駆け上がる権兵衛達。妙算も鉄砲で援護する。
 上った先に更に土塁がある。権兵衛は槍を使い、飛び、民兵ひしめく堀の上に降り立った。そして、権兵衛を守るために配下の者達も次々に飛び、堀の上に飛び立つ。
 槍を振り回し、兵を蹴散らす権兵衛。正面からの弓矢も難なく、盾で防ぐ。
 更に敵の鉄砲も配下との犬槍で発射の前に潰す。
 槍を飛ばした為、刀に持ち替える権兵衛。介者剣法で赤土の上で飛び跳ね、敵を蹴散らしていく。

 権兵衛の快進撃に対し、敵大将の笠原は差し違える覚悟で出陣しようとした。しかし、配下の須田に止められる。槍を奪い取り、須田は言った。自分は合戦しか知らないけど、貴殿は政を知っている、と。
 笠原を生かす為に、須田は堀の底に彼を落としたのだった。


 混乱、狂気の戦場って感じですね。同時に、ここが最後の正念場、でしょうか。
 ……まぁ、この後も戦は続くんですけどね。まだ20年以上先かね。

 久しぶり過ぎる稲葉山と介者剣法ですね。堀久太郎は死にそうですけど。本当、最終回が近い感じがします。ここの戦いが終われば、開城まで戦いはないですからね。

 須田はカッコイイですね。笠原はどうするんだろう。父親が松田なら、ここから降伏工作が始まるのかな?
 とにかく、次回も楽しみです。

2019年11月24日日曜日

無用から有用へ

 センゴク権兵衛、先週と今週の感想。

 付け入りする為に、門を探す権兵衛率いる仙石隊。しかし、鈴の陣羽織の所為で敵が集まってしまう。

 敵将、笠原は立ち尽くす。そんな彼に部下の須田は狙撃手がいるから下がるよう進言する。しかし、笠原は狙撃など当たらぬと言い、須田に民兵の指揮に戻るように言う。
 須田は言う。我々は東国しか知らぬ、と。
 天下には名もなき強兵がいる。民兵の中に武士を凌ぐ者がいたり、才が有っても名や富を求めぬ者、忠義心すら持たぬ者。そんな者たちがいる。
 須田は続ける、何故大砲手が撃たれたかと、何故今旗本衆が苦戦しているのか、と。
 銃声が響く。今度は笠原の隣の者が撃たれた。
 このままでは付け入りが成功してしまう。須田は進言する、閉門すべきと。
 笠原は反対する、旗本衆を見捨てられぬと。しかし、付け入りは目前、そして旗本衆も自分たちを見捨てて閉門を求めた。
 須田は決断出来ぬ笠原に代わり、下知をもらったと言い閉門を指示する。須田は切腹する覚悟であった。
 身動きの取れぬ権兵衛。閉門の声を聞き仙石隊は門に向かう。しかし、及ばず門は閉じられた。
 笠原は思う。これでは畜生の合戦ではないかと。
 
 門を閉め閂を掛ける。その兵を襲うものがいた。閂は外され、更に兵が襲われる。
 そう、岡田が侵入に成功したのだ。門内は曲者騒動が起き混乱する。岡田は閂を閉めようとする兵をさらに襲う。
 果たして、門は開かれた。
 森と鷲見達が門内に突入する。岡田を助け、声を掛ける。有用ノ介殿、と。

 森と鷲見が突入した。しかし、先駆けの経験も少なく二人とも躊躇する。
 そんな二人に傷付き休んでいた岡田は一喝、二人は覚悟を決めて先駆けする。

 敵の笠原は気落ちしてしまう。須田は彼を守りつつ、励ますのだった。

 付け入り成功。しかし、権兵衛の下には敵兵が沢山集まり身動きが出来なかった。
 そんな中、才蔵が敵を蹴散らし権兵衛に近づいた。才蔵は権兵衛と槍を交換する。そして城攻めは好かぬ、と言い先に帰ってしまった。
 
 実際にはケガの状態が悪かったのだ。仕寄りで休んでいると、治療担当の善覚と右筆の吉野が現れた。善覚はケガの状態に驚く。そして吉野は首級を上げた才蔵名を書き留めようと、名を聞く。しかし、才蔵は興味が無いのか、沢蟹が首を切ったでもしとけ、と言い二人に合戦に戻るよう言ったのだ。

 堀の陣から虎口攻めを眺めている秀吉。たかが虎口一つの為、そう思う秀吉に記憶が蘇る。
 たかが試し合戦の為に一人で頑張る権兵衛。秀吉は思う、そのたかがを頑張ったから今の自分があるのだと。
 秀吉は物見台を降りるのであった。

 息の上がり始めた権兵衛。虎口攻めは部下達に任せようとした。しかし、声が聞こえた。今は亡き者達の声であった。
 気合の入り直した権兵衛は、虎口へと走って行く。

 対岸から援護していた堀監物達にも付け入り成功が見えた。
 監物は伝令を出す。久太郎に早川に鈴の音鳴り響く、と。


 と言う事で付け入り成功ですね。無用ノ介が有用ノ介って呼ばれるのがいいですね。
 そのあとの鷲見と森村のズッコケぶりも。
 本当に仙石隊の力を結集した戦い。権兵衛も亡くなった者達の声を受け、突入しましたね。このままあっさり陥落か、それとも最後に笠原が立ちはだかるのか、楽しみですね。
 あと、秀吉は心境変化したのかな?物見台を降りた後どう行動するのかな?気になりますね。

2019年11月4日月曜日

合戦の炎

 センゴク権兵衛、153話154話の感想。

 秀吉は堀秀政陣から早川口の攻防を見ていた。そこに堀隊から報告があった。
 それは撤退の報告であり、殿軍の仙石隊が虎口攻めをしている報であった。
 秀吉は権兵衛が死ぬ気であると思った。そして、忠臣の死となり士気も上がる、そう考えた。

 が、当然権兵衛は死ぬ気ではなかった。かつて秀吉が言った、死を越えることが生きると言うこと、その言葉で皆を奮い立たせていた。権兵衛は金ヶ崎を思い出していたのだ。

 総攻撃を求める北条兵。しかし、正厳は敵の思惑が付け入りと見抜いていた。外枡に造兵し、横矢にて射ち崩そうとした。

 指揮を本間に任せ、権兵衛と才蔵は前線に立ち、槍を振るう。
 そんな中、妙算は敵将を狙う。盾を背負った、渡邊中野青江の三人に敵将の抑えを委ねる。
 混戦の中、権兵衛と才蔵は息を合わせて戦い押していく。
 それを秀吉は驚きの顔で見るのだった。すぐに戦況を分析し、思い直す。
 権兵衛が死ぬつもりでなく、付け入りするつもりだと。

 外枡の兵が戻り始めた。しかし、権兵衛達も後詰が増える。突撃の頃合いである。そして、それは外で見ていた秀吉も同様であった。そして秀吉は懐かしい合戦と述懐するのだった。
 秀吉の思う時と同じくして、仙石隊は突撃を掛ける。先制は仙石隊の五人、槍を飛ばして敵の鉄砲斉射を止める。
 妙算が威嚇発砲をする隙に盾を背負った三人が敵将に迫る。足止めしている間に才蔵が敵将に相対する。
 鷲見親子の元に飛んで来たのは敵将の首。二人は将が討ち取られた事を大声で叫ぶ。
 指揮する者が討たれ狼狽える処に権兵衛達は更に突撃する。


 仙石隊の面々の活躍もあり、攻勢が続きます。北条方は後手後手に成りましたね。このまま虎口陥落でしょうか?もう一波乱ありそうですけど。権兵衛と正厳の一騎打ちとかありそうですし。
 秀吉は往年の熱が戻って来ている感じですね。この辺が権兵衛の復帰フラグなんでしょうか。別のフラグも立っていたら不安ですけどね。
 いよいよ大詰めって感じです、次回も楽しみです。

2019年10月13日日曜日

東美濃の将達

 センゴク権兵衛、151話と152話の感想。

 本間に可児が加勢するも、出てきた敵勢は主力部隊。才蔵は全兵討ち取りを撤回する。
 敵はこちらの十倍の精兵。鶴翼にて突撃する。
 本間は才蔵に片翼を任せる。正面は槍衾、敵を二手に分け精兵で迎え撃つ。
 才蔵の武勇は凄まじく、槍の一薙ぎで多くの敵兵を吹き飛ばす。これを見て、敵は仕寄りの裏から回り込もうとする。しかし、横から鉄砲が雨霰と降り注ぐ。
 川向こうに居たのは堀監物の鉄砲衆。仁江が堀家に報せたのだ。

 一方大手前の権兵衛。鞍馬山に付いて来た五人に真っ先に逃げると言う。
 権兵衛は敵が付け入り策を警戒してるのを感じ取った。だから、わざと、無様な逃げっぷりを見せなければならなかった。
 鈴の羽織をして、我先へと逃げる権兵衛達。敵を釣る為に、逃げるのだった。

 逃げ出した権兵衛を見て、北条は沸き立ち臆病者と誹る。しかし、正厳はこれを辞めされる。そんな中、全門を開門して殲滅すべきと部下が進言する。
 正厳は迷うが、殲滅せずに将を討ち取り、残りは人質にするのが最善策と言う。それこそが折り目正しき北条の戦であり、政を考えれば交渉の余地が残るのだ。
 しかし、兵達は違った。幾度も村を蹂躙された民衆の怒りは、敵兵の殲滅を願っていたのだった。

 虎口前では本間、可児隊と北条の精兵が戦っていた。才蔵も休み無しに戦っていて、流石に疲労していた。そこを鉄砲で狙われ、足を負傷する。それでもなお奮戦するが、ついに地面に倒れる。
 金棒で兜ごと粉砕される。その刹那、敵兵は鉄砲で撃ち抜かれた。
 鈴の音が聞こえる。立ち上がろうとする背中に衝撃が加わる。次の瞬間、目の前の敵が一掃される。懐かしき顔、仙石権兵衛だった。


 才蔵のピンチを助ける権兵衛、痺れますね。どれくらいぶりの再開でしたっけ?小谷城攻めの後、会ってたっけ?
 兎にも角にも、才蔵の大立ち回りです。権兵衛のピンチを救って、今度はピンチを救われるって事ですか。二人の共闘で勝利への道が開かれるのかな?
 仁江が情報を伝えに行ったのは堀へでしたか。監物の援軍もグットタイミングでしたね。
 そして、権兵衛。戸次川では釣られたけど、今度は釣る側です。正厳は追撃は控えようとしていたけど、兵達はそうではない。権兵衛の策が当たりそうですね。
 反抗の機会を窺う権兵衛。勝利も見えてきたのかな?次回も楽しみです。

2019年9月29日日曜日

到着した援軍

  センゴク権兵衛、149話と150話の感想。

 搦手門から旗本衆が出撃し、仙石隊に襲い掛かる。
 が、権兵衛達も予測していた。第二陣の牢人衆の窪と臼田がこれにあたる。
 戦場には新たな敵の襲来を告げる声が響き渡った。
 権兵衛は更に牢人衆の渡邊や小川を搦手へ差し向ける。混戦状態を狙い、突撃をする牢人衆。しかし、北条は歩兵を左右に分け、背後に潜んでいた鉄砲隊の射線を開けた。牢人衆は勢いを止める事が出来ず、鉄砲の一斉射撃の餌食となってしまった。
 その音は権兵衛達の耳にも聞こえていた。
 牢人衆は立てる者だけで追撃をしようとする。しかし、北条は素早く撤兵し、門を閉じてしまった。後は門や土塁の上から弓や鉄砲が降り注ぐのみ。牢人衆の挑発にも乗らなかった。
 付け入り策は不首尾。もはや撤退を考えなければならなかった。
 しかし、敵の笠原にはさらに策があった。彼の命令で第三の門が開かれる。

 伊賀忍の仁江が木に登り、早川口を見ていた。彼は、土塁上の盾の影にいる者が乱波と勘づく。そして何か小細工があると。
 笠原の合図で、土塁上の者たちが動く。彼らはなんと、盾を持ち上げ、下の堀へと落としたのだった。そうして出来上がったのは橋。その堀奥には門。そう、それまで水堀だった所が橋となり、道を作ったのだ。
 仁江は兵が渡れたのは、水堀底に石柱があり、それで支えていると推察。仁江はすぐに木を降り然る者に報せる為に駆け出す。
 浮き橋を渡り、桝形の外から虎口に蓋をせんと動く北条兵。これに当たるは桝形の外にいた本間隊である。彼は、自分たちが防ぐから全兵退くべし、そう諸隊に伝えるよう命じる。当然、これに批判的な者もいた。しかし本間は、権兵衛が相貌を信じると言った、かつて同胞を見捨てた卑怯者の面を、そう答えた。
 全軍に退くべしの言葉が伝わる。仙石隊では、本間が頼りにならないと思っていた。そして、戸次川の事が思い出された。早く退くべきだと。
 混乱するなか権兵衛は心を落ち着かせる。そして、気付く。新たな付け入り先が出来たのだと。
 本間は決死の覚悟で敵と対峙する。皆、失敗してここにいる。誰か一人でも生還し、名を上げたら、他の者たちも挽回される。全兵討死の覚悟を持って敵に突撃しようとした。
 その時、肩を叩く者が。可児才蔵である。本間はその顔をみて猛者の相貌と言う。
 才蔵は礼を言い。さらに言う。全兵討死じゃなくて、全兵討ち取りだ、と。

 
 と、言うわけで、いよいよ才蔵が登場ですね。寝過ごした所為ですけど。ここまで、第二、第三の門と笠原の思惑通りでしたが、いよいよ挽回の時、って感じです。
 やはり旗本衆は統率が取れていて手ごわいですね。そしてまさかの橋の出現。青天の霹靂ですよ。まさかこうするとは。
 あと、仁江がまさかの再登場。情報を伝えに行った相手はやっぱり権兵衛なのかな?もしくは今回の才蔵かも。まぁ来週くらいに明かされるのかな?
 かつての敗北と似た状況に成り始めましたが、反撃の狼煙が上がったみたいで楽しみですね。
 そういえば本間さんって佐渡の本間だったんだ。驚きました。
 とは言え、花の慶次で出てたな、って知識しかないけど……
 

2019年9月8日日曜日

仙石隊の連携

 今週のセンゴク権兵衛の感想。

 先駆けるのはサジ。矢や鉄砲玉が飛び交う中進む。敵は盾ごと壊すように撃ってくる。しかし、ほとんどが百姓兵。無駄撃ちが多かった。
 そんな中、松原が搦手門を発見する。それを聞いたサジは汀に権兵衛への伝令を頼む。別門の発見と、土塁の上は百姓兵。正規兵は別門に潜んでいる、と。

 権兵衛は大筒の囮となっていた。ただ、腰が抜けているので坂本に支えられているのだった。
 射角に入った事を確認した妙算は相原に合図の旗を振らせる。
 それを見た奥田兄弟が火矢を大筒に向かって放す。
 間一髪だった。敵の砲兵達は火蓋を切る所だった。火矢を見て狼狽える砲兵。そこにすかさず妙算は射撃した。弾は見事に大砲手を撃ち抜くのだった。
 権兵衛は野崎に太鼓を打ち鳴らさせる。総攻撃の合図だ。全軍が虎口に殺到する。

 北条方は混乱に陥った。組頭の須田は訓練通りと落ち着かせようとするが、やはり民兵。正規兵のように統率することは叶わなかった。
 だが、この時を正厳は待っていた。弱き民兵の守る虎口に敵が殺到する時を。
 搦手門を開け、正厳の旗本衆が権兵衛の背後を付かんとしていた。


 緊迫した戦いが続きますね。
 今回は仙石隊の連携が非常に多く出てきますね。突入前に名前を呼ばれなかったからか、次々に名前(あだ名)で呼ばれます。なんだか良いですね。
 戦況は、権兵衛の考えた通りに進んでいますが、しかし無事に正厳の兵を撃退出来るのか?他の牢人衆は?可児さんの出番は?たぶん、一筋縄ではいかないと思います。
 次回も楽しみです。

2019年8月25日日曜日

虎口に入らずんば

 センゴク権兵衛、146話と147話の感想。

 舟に乗っていた可児才蔵が目を覚ました。

 一方、権兵衛は牢人衆も集めて軍議をしていた。
 試し合戦を繰り返して分かった事は、赤土の壁を登ろうとすれば兵の大半を失ってしまう事であった。当然、真正面の虎口からは攻めるのも難しい。
 山中城で試し合戦を繰り返していた権兵衛は北条の城の守り方に気づいていた。
 馬出しのように複数の出入り口があり、片方が攻められると片方から奇襲をかける、と。なので、虎口以外の出入り口を見つけてそこから攻める、権兵衛はそう考えた。
 しかし、渋る者もいた。もし他の出入り口がなかったら、と。
 権兵衛は言う、城は虫や獣の巣と同じと言う。北条の城である以上、仕組みは同じだと。別の牢人も同調する。北条の城をどこからか現れる奇襲部隊にやられる話をよく聞く、と。
 さて、具体的な方法は山中城で渡辺勘兵衛が取った方法と同じである。
 まず、虎口を攻め奇襲部隊を誘き出す。そして、奇襲部隊が撤退する時に一緒に突入する、付け入りの策である。
 囮は権兵衛自ら行う。おあつらえ向きに鈴の陣羽織を羽織っている。
 そして後方での迎撃役には一番渋っている本間を当てた。

 仔細は決まった。後は出陣するのみであった。
 そんな権兵衛の元に岡田が現れる。彼は旗印を返すと言う。敵のを奪い敵に成りすまし、閂を開けると言うのだ。権兵衛は躊躇する。岡田は言う、元十万石の大名がたかが一兵卒に死んで来いと言えないのか、と。権兵衛は言う、おんしは無用では無い、と。岡田はそれを今こそ証明すると断言した。
 もはや権兵衛に言える言葉は一つだった、励め、と。

 妙算の事を知らぬ者が絡むが、サジに窘められる一幕もあった。

 権兵衛は森に話す。万が一にはおんしが大将だと。藤兵衛にも声掛けしようとするが、無用と断られる。他の者にも声掛けしたかったが時間がないので、省略する他なかった。
 多少ズッコケた仙石隊であるが、士気は十分、潮は引き、夜も白ばむ。
 権兵衛は手を合わせ、太鼓を持つように言った。ついに早川口の戦いが始まる。

 付け入り作戦。まずは大手を攻める。これには北条も驚く。しかし、大筒の用意があり準備をさせる。

 そんな中可児才蔵は舟で早川口に戻っていた。どうやら眠っていて、堀隊と共に撤退してしまったようだ。

 大手前には水堀、その先の橋は木橋であった。定石ならば橋を落とす。しかし、守将の笠原は落とさず敵を引き込む事にする。さらに外枡にいた兵も引き上げさせた。
 誘われた、と言う事は奇襲部隊が潜んでいると言う事。権兵衛はそう判断し、さらに兵を進めた。
 櫓にある大筒に最初に気づいたのは妙算であった。権兵衛は狙撃するように言うが、遠くて無理であった。妙算は撃つ気配がしたら知らせると言い、権兵衛は手盾を持つことにした。
 権兵衛は皆に大筒の存在を知らせる。そして緊張する皆を落ち着かせる為、標的は大将である自分になると言う。その上、そうそう当たらんと言い、笑った。
 岡田に肝が据わっていると言われ、おんしが命懸けをするからワシまで懸けないといけなくなったと言ったところで、権兵衛の嗅覚が大筒の発射を感じ取った。同じく、妙算も感じ取ったのか、大声で来るぞ、と言った。
 皆が地に伏すと同時に、大筒の弾が仙石隊を襲った。死者は出ず、皆無事であった。体勢を立て直し、次の砲撃までにさらに進む。権兵衛は奇襲部隊が現れなかったらこのまま突入するつもりであった。しかし、すでに盾がもたなかった。
 そんな中奥田兄弟が妙算に声を掛ける。二人で櫓に射掛けるから隙をみて狙撃をして欲しい、と。それは妙算にとっても喜ばしい提案であった。妙算は二人が他家に行かなくて良かったと感謝を述べた。
 先頭に立つのはサジ。それに続いて、仙石隊はさらに門へと突き進む。


 いよいよ、虎口攻めスタートですね。試し合戦の成果が出てますね。同じ家なら城は作りが同じ、ってのは守り方に法則があるからですね。別の城に行っても同じ守り方ができると言う。ドクトリンって言うんでしたっけ?権兵衛のたとえは分かるようで分からないですね。
 奇襲がある事を織り込んでの付け入り作戦。ですが、奇襲を織り込む済みと言うと戸次川を思い出してしまうけど…まぁ、あれも家久が神憑らなければ勝ちそうだったので大丈夫かな?
 一心不乱に門を攻める権兵衛達。ギミックが大筒だけでは無いと思うので北条方の笠原がどう奮闘するのかも楽しみですね。
 そういえば才蔵は寝過ごしたんですね。今は引き返しているけど。彼の活躍も楽しみです。あと、高虎がいればと思ったけど、小田原では別の所にいたのかな?また調べてみようかな。

2019年8月4日日曜日

無用の時代と大事なもの

 先週のセンゴク権兵衛の感想。

 小田原城の虎口攻め。秀吉は早川口を担当する堀久太郎の手腕に期待していた。
 しかし、病に倒れた久太郎は撤退。ヤマイヌの計は中止となっていた。

 殿軍となった仙石隊と牢人衆。権兵衛は妙算に虎口攻めの是非を聞く。妙算が肯定すると、権兵衛は皆に大声で言う、このまま逃げるか、虎口を攻めるか、と。

 権兵衛は更に言う。
 策も中止だし、上からの命令も無い。落としても武功にはならない。
 それでも何故戦うのか。それは権兵衛が色んな縁から学んで出した答えだった。
 出世し名を挙げても、まやかし。天下人に成っても落書き一つに怯え腹を立てる。
 八千七百度のお参りを経て権兵衛は出世や功名は無用と考えるようになった。すべては周りに流されているだけだと。
 権兵衛には己の中にもっと大事なものが出来た。それを今、皆とぶっ放したい。そう言った。

 権兵衛の言葉に出来なかった、それ。妙算は、生き様、と言った。

 権兵衛は続ける。色んな思いから、己の中から生まれる大事なもの、生き様。
 虎口を陥落させ、生き様を示そう、そう大声で叫ぶのだった。

 妙算は、下らない説法を覚えた、と言い。言えば言うほど説得力なくなると権兵衛の言葉を止めた。
 すでに、仙石隊だけならず、牢人衆も権兵衛と同じ気持ちに成っていたのだった。
 士気は十二分に高まっていた。

 権兵衛は北条にも声をかける。逃げるなら今のうち、と。
 北条は困惑した。知らぬ無の旗に羽織の鈴も理解が及ばなかった。
 権兵衛は言う。戦の世は終わりだと。合戦が無くなれば武士はいらんし、大名諸侯も無用の飾りになる。無用に成っても生きる為には己の中に大事なものを持っていなければならない。
 権兵衛は北条兵には分からんだろうと言い、無の旗を立てると宣誓した。

 
 北条側の守将笠原正厳の元に敵の詳細が告げられる。掘秀政の首には及ばぬが、元大名なら挽回の武功には十分と考えた。
 部下は城の守りが第一と言うが、正厳はあくまで首を狙う。
 正厳は重代の筆頭家老松田家出身の彼は以前主家を裏切った。そして赦された時に僧名「正厳」を号したのだ。
 彼は必ず仙石秀久の首を取る、そう誓うのだった。


 権兵衛らしい演説でしたね。全てを失ってから得たもの、それが今の権兵衛を形作っているんですね。心強いですね。
 ただ、権兵衛の言葉を聞いてると、じゃあ秀吉はどうなんだろう?って感じになります。その後を考えると権兵衛のような考えに至れなかったのかな、って思ってしまいます。無論、小田原以降も話が続けば、また変わるのかな?
 さて、最後の相手は笠原。松田憲秀の息子で、彼も失敗して挽回を狙ってます。果たして虎口攻めがどうなるか。楽しみですね。

2019年7月21日日曜日

権兵衛と久太郎

 先週と今週のセンゴク権兵衛の感想。

 寅の刻。空が白んで、夜明けが近づく。
 そんな中、権兵衛の元に掘監物が現れる。そして告げる、堀隊は退却する、権兵衛も退却の下知をするように、と。
 当然、権兵衛には理解出来ない。監物に仔細を聞こうとする。しかし、取り付く島もなく、監物は退却を告げる。
 権兵衛は久太郎はそんな奴では無い。そう思い、久太郎の元に行こうとする。しかし、監物は実力で止めようとする。
 そして、ついに権兵衛が謀反したと言ったのだ。
 仙石隊と堀隊との間に緊張が走る。それを大声で止めたのは森村吉であった。村吉は権兵衛がかつての猪武者では無いと言い。そして、堀隊も仙石隊や徳川を裏切らぬ、殿の知音を信じるように諭した。
 続いて藤兵衛も、権兵衛の友を見る目は秀でていると続けた。
 この言葉に監物は考えを改め、非礼を詫、権兵衛を九太郎の元に案内する。

 堀久太郎が乗っている船に案内された権兵衛。そこで見たのは、口から血を吐き、近習に支えれた久太郎の姿だった。

 早川口を守る笠原正厳は父、松田憲秀と協議していた。正厳はかつて国に背いた為、挽回を望んでいた。しかし憲秀は相手が堀秀政と知り、軽率に打って出ることに否定的であった。
 しかし、正厳の熱心な言葉についに折れ、秀政の首を取るように言うのだった。

 
 堀久太郎は息も絶え絶えであった。しかし、彼は戦うつもりであった。そんな久太郎に権兵衛は馬鹿を云うな、と言った。権兵衛を指差す久太郎。権兵衛にはその意図は直ぐにわかる「お前が言うな」である。
 権兵衛は、久太郎の状態を見て、退却を決める。それは久太郎の求める美しい戦では無いからである。
 権兵衛は殿軍は自分がすると言う。出会った時を思い出し、久太郎に命を拾ってもらったから、そう言った。
 久太郎は脇差を抜き、権兵衛に向ける。それはまるで、出会った時に刀を向けどう生きる、と問うた時のようであった。
 権兵衛は、わかっとる、と答えた。

 権兵衛は監物に退却と殿軍の話をする。そして、旗と武具、城攻めの用具も一応残すように言う。更に、池田隊へ策の中止を伝えるように頼んだ。
 監物は完遂したら、殿軍の武功を申し上げると約束した。

 後の石垣山では城普請が大急ぎで進められていた。それを見回る秀吉。
 今朝は掘隊らが抜け駆けの城攻めが行われる日。秀吉は名人久太郎のお手並み拝見と言うのであった。

 北条側、笠原正厳に、敵の退却が伝わる。しかし、相手の旗印は掘である。久太郎の謀を警戒して、まずは射撃に務めるのであった。

 権兵衛達は盾で防御しながら、浅瀬に乗り上げた船を押していた。
 戸次川よりましだ、と言いつつ味方を鼓舞する権兵衛。
 見事、船を浮かす事に成功。続いて武器弾薬や攻城具を船から受け取る。
 受け取った鉄砲を権兵衛は謎の覆面男に渡す。そう妙算である。
 権兵衛は知ってか知らずか彼に言う。挽回の助けに来てもろうたが失敗だと。
 そして言う。邪気払いにあの虎口を攻めないか、と。
 妙算は言う。いいんじゃないか、と。


 とうとう、虎口攻めが始まりますね。
 久しぶりの登場の九太郎はもうすでに……って感じですね。五月の終わりには亡くなっているでしたっけ。あの時出会った二人の運命がここで分かれる、って事ですかね。ものすごい伏線回収ですね。
 因みに、久太郎がここで亡くなるの全然知らなくて、小田原城近辺をマップで調べていたら……それで権兵衛と久太郎なんだな、とガッテンがいきました。

 権兵衛は殿軍と言っていたけど最初から自分たちだけで虎口を攻めるつもりだったんですね。それが権兵衛の生き方、なんでしょう。
 妙算の事も気づいている、ですよね。権兵衛の事だから気づいてなくてもおかしくないけど。後、可児才蔵もいたから、虎口攻めに加わるのかな?

 とにかく、いよいよ挽回の為の戦いが始まります。

2019年7月7日日曜日

そして夜は空ける

 今週のセンゴク権兵衛の感想。

 波風に紛れての仕寄り作りは北条に気づかれすに進むかと思われた。
 しかし、氏直は篝火をけさせるのであった。
 氏直は新月の夜襲を警戒していた。故に、目印になる篝火を消させるのだ。
 配下の者は自軍の監視が出来なくなると難色を示す。しかし、氏直は味方は信じるもの、と言う。そして、兵が守護を怠るのは北条の政に怠惰があるのだ、と言う。

 北条の篝火が消えていく。
 襲撃の第二陣の池田隊は困惑する。敵に夜襲を看破された懸念が生じる。
 照政は第一陣の伝令を待って判断することにする。夜襲の断念も視野に入れて。

 篝火が消えた事は、第一陣の仙石隊にも不安の種を与えた。
 直後に敵から発砲される。敵に気付かれた、皆に緊張が走った。
 しかし、とある者が言う。威嚇射撃だと。
 権兵衛はその通りだと思い直す。しかし、物言いが不遜であった為に、明るくなったらぶん殴ると言った。
 権兵衛は威嚇だ、と言い配下の者達を励ます。
 そうして、発砲音が鳴り響く中、仕寄の制作が再開される。

 北条方は気づいていた。それを確かめる為の発砲であった。
 早川口の担当の笠原正厳は報告を受けると、父と評定すると言い、現場を離れる。
 配下の者達は威嚇をやめ、明け方の襲撃に備える事にした。

 仕寄も出来、万全の態勢に思われた。しかし、掘監物より知らせが届けられる。どうやら良くない知らせのようだ。


 順調っぽいけど、敵方も着実に備えて来てますね。厳しい戦いになりそう。
 そして掘隊より齎される報告は何かな?
 池田隊が引いたか、それとも久太郎に関する事かな?その時はもう少し後みたいだけど。
 それと、妙算がいる事は確定かな?この後、どんな会話するか楽しみですね。

 いよいよ、夜明け。不安な事も多いけど、この後が楽しみですね。

2019年6月23日日曜日

渡河開始

 今週のセンゴク権兵衛の感想。

 早川渡河。その評定を開く前、権兵衛の前に一人の男が現れた。伊賀衆の仁江である。
 付近の物見をしていたのだ。仁江は情報の引き換えに、掘秀政へのおとりなしを権兵衛に要望する。権兵衛は快諾して、仁江も評定に加わるのだった。

 評定は権兵衛に管平右衛門、仁江。そして、堀家からは掘直政が加わった。
 まずは仁江が物見の報告をする。
 今宵は大潮。満潮は深夜である。仕寄の予定地は草摺まで水没する。
 そして早朝寅の刻より潮が引き始め、二刻後の辰の刻には干潮になる。
 平右衛門は言う。
 深夜に陸風にて海に出て、上げ潮で川に侵入し仕寄を作る。引き潮になるまでに完成させる。
 掘直政が続けて言う。
 新月の闇夜、潮入の音に紛れて水没地に仕寄を作る。そうすれば、北条は朝に突然仕寄を見ることとなる。名付けて「一夜仕寄りの計」である。

 懸念されるのは座礁だが、平右衛門曰く、やらなきゃわからん。
 また一回に渡河出来るのは五百が限界である。こちらには、直政は問題ないと言う。
 
 兎にも角にも、出鼻で挫けば策は台無しである。更に豊臣徳川間にヒビが入る。
 権兵衛は言う。その時は目付の自分が責任を負う、と。そして皆の力を信じる、と。

 覚悟は出来ていた。すべてを背負う覚悟をするため七千九百度も参っていたのだ。
 今度は逃げん、そう覚悟する。

 五月朔日、宵。
 星空は見えるが、波風は高かった。しかし、平右衛門はこんな時渡河するとは敵も思わないと言う。
 仙石隊、掘隊、牢人、合わせて五百騎が船に乗り出港する。
 それに合わせ伝令が池田、黒田、徳川の順に走る。
 大荒れの海、敵の篝火を目印にしつつ進む。そんな中、船が止まり座礁する。
 しかし、平右衛門は慌てない。座礁するなら、ここが陸だと言う。そして、権兵衛の勘もそう言っていた。
 権兵衛達は暗闇の中、荒れ狂う早川に入り、仕寄を作り始める。



 まさかの、仁江の再登場ですね。本当に様々な縁が繋がってますね。
 そしてもう一人、船に乗った男が気になります。最初は秀政だと思ったけど、妙算っぽくもあるんですよね。誰なんでしょうか。
 荒れ狂う川の中、仕寄の制作を開始しましたが、すんなり行くのでしょうか?今後がたのしみですね。
 
 そういえば一夜仕寄りの計って一夜城みたいなものですね。そういえば、まだ石垣山城は出てないですね。ただ本陣を造っているってだけで。これが伏線になるのかな?

2019年6月16日日曜日

再びのヤマイヌの計

 センゴク権兵衛第139話と140話の感想。

 
 官兵衛が家康に提案したのは「ヤマイヌの計」。
 囲んでいる味方で城に一斉に迫り、混乱させ、虎口を取る策である。
 そして、官兵衛は家康も同じ考えに至り、徳川と豊臣の連繋の取次役として自分を呼んだと推察した。

 官兵衛は権兵衛を伴って諸将の根回しに向かう。因みに権兵衛は土下座担当との事。
 
 北東の信雄は目上ゆえ動かぬ。北は官兵衛が受け持つ。問題は北西、山中城で疲弊した面々であり、了承は得にくい。さらに宇喜多は立場上殿下の命令なしでは動けない。了承を得るのは困難である。

 結果は官兵衛の予想通りであった。とは言え、想定内である。
 西は池田隊の了承を得た。残るは南西の堀秀政である。官兵衛は、彼も山中城で兵を動かしているので、了承を得るのは難しいと考える。しかし、権兵衛は秀政は皮肉を言いながらも了承するだろうと言う。

 権兵衛の言う通り、了承は得られた。しかし、官兵衛にすら会わなかった。豊臣内での派閥争いが為か。だがそれにしては、なぜ援助を了承したのか。官兵衛は訝しんだ。
 だが、権兵衛は言う。性根は変なやつだと。かつては狂太郎と呼ばれていた、と。

 とかく、四方の仕寄りは完成した。
 堀隊より攻撃を開始し、池田、黒田と攻撃を順に仕掛け、最後に徳川が渋取口前の出曲輪を取る。決行は五月朔日の新月の夜である。

 権兵衛とその配下達に、遂に挽回の刻が巡ってきた。

 北条氏直は言う、晦日朔日の新月に気を付けろ、と。本能寺の変も新月の夜陰に行軍し、翌二日に決行された。豊臣もまた、夜陰に紛れて城攻めをするだろうと予測したのだ。
 そして、どの虎口が責められても混乱せずに、己の持ち場のみを守れと言う。
 そんな氏直を見て兵は、宗瑞公の生き写しと称えるのであった。

 豊臣軍の兵站はギリギリであった。数ヶ月では落城せず、冬に入り雪でも降れば包囲不能になる。そして、退却すればそれこそ北条の待望の時であった。
 北条の戦法は敵の撤退時の追撃戦。謙信の時も信玄の時もそうして防いできた。
 それは一度攻めかかれば退くことは赦されないのである。

 家康と正信の元に権兵衛が呼ばれる。正信は権兵衛に一つ気がかりがあると言った。それは秀政に会えなかった事である。家康や正信は彼の裏切り、すなわち兵を出さない事を気にしていたのだ。そして言う、腹を斬る覚悟はあるか、と。
 権兵衛はわかりました、と言った。
 家康は言う、秀政のために死ぬのかと。
 権兵衛は言う。死ぬ気は無いと。そして秀政が裏切る事は有り得ないと言う。秀政はひたすら「巧みに美しゅう」働くことしか考えてないから、そう権兵衛は語るのだった。
 家康は理解し、続けて命を下す。掘隊の目付となり、その後、池田、黒田と伝令に走り、最後に徳川の陣に戻れと。

 自分の陣に戻って、命令を伝える権兵衛。その手には高野山の者達から貰った鈴を着けた陣羽織があった。これで目立つ為であったが、部下たちには不評であった。そんな事もあり、着るのをやめようと考えると今度は皆が着るように言ってくるのであった。

 さて、秀政の陣に行き、早川口を眺める権兵衛。
 しかし、この場所は早川の河口。作戦の決行時には潮の影響で陸地は水没、更に潮の逆流も有り得る、難関の地である。如何に渡るのか。
 権兵衛はすでに手配していた。かつて戦った管平右衛門に書状を送っていたのだ。
 現れた平右衛門は面を合わすと直ぐに、権兵衛に強烈な拳骨を食らわす。そして、言う本能寺の変の時に助命した借りは返したと。


 鳥取城でも使ったヤマイヌの計、再びですね。
 順調に策の準備は進むも、北条は何か仕掛けてくることを読み、兵に動揺するなと命令を出してます。うまくいくのか、難しそうですね。
 
 権兵衛としては、縁も繋がり挽回の時に向けて進んでます。平右衛門の助けも得られました。あとは、可児才蔵や妙算がいつ出てくるかですかね。そこも気になります。

 そして久太郎。未だ顔を見せてないけど、この先どうなるか心配ですね。何かしらの見せ場はあるとは思いますけど。

 兎にも角にも、その時が楽しみでなりません。

2019年5月26日日曜日

力攻めへの方策

 今週のセンゴク権兵衛の感想。

 遂に、小田原を包囲した豊臣軍。蟻の這い出る隙もない、空前絶後の包囲網。
 しかし、北条の士気は依然高いままであった。
 秀吉は官兵衛に訪ねる。辯士衆を使った、敵の士気を下げる作戦はどうなったかと。
 官兵衛は答える。民衆の北条への忠誠のが勝っていると。
 内部崩壊をさせる事は出来なかった。と、なると力攻めしかない。
 だが、山中城でさえ多くの味方が犠牲になった。その倍近い大きさの小田原ならどうなる事や……。圧倒的優位にも関わらず、豊臣軍は攻め倦ねるのであった。

 当初は楽観していた秀吉だが、長期戦になると考えを変える。
 その中で、自分だけでなく、諸将の妻子を呼び逃亡や謀反を出さぬようにする。
 そして、そんな中、家康や信雄が謀反すると言う風聞が飛び交った。

 家康を訪ねた秀吉。無論、家康はそんな事はないと言い切る。しかし秀吉の心配はそこでは無かった。その風聞が飛び交っている事自体、北条が優勢と民衆が思っている。そう秀吉は考えるのだ。
 秀吉は続ける。力攻めはしたくない。しかし、敵に力攻めがない、と思われるのも良くない。然らば、誰かがこの役を買って出ないだろうか、と。
 家康と共にこれを聞いた正信は、徳川がやれ、と聞こえた。しかし、家康は実際に口にはしてない、と言う。そして秀吉は、勝手に勇んで力攻めする者が入れば、その勝敗に関わらず豊臣の威信は傷つかない、そう考えているのではと言う。

 秀吉の命を受け、官兵衛は渡辺了に会っていた。先走って戦う者を探していたのだ。
 しかし、渡辺はこれを断る。山中城で黄母衣衆に手柄を持っていかれた事に立腹していたのだ。さらに渡辺は、自分は中村家の者、やるなら官兵衛自身の家来を使えばいいのでは、と言ったのだ。

 渡辺に断られた官兵衛。次に思い出したのは権兵衛だった。しかし、今度負けたら打首にせんわけにはいかない。ないな、と思い苦笑する。
 そんな彼に、人の面をみて苦笑いするなとのいちゃもんが飛んでくる。なんと、今考えていた人物、仙石権兵衛その人であった。
 どうやら、権兵衛は官兵衛を探していたのだ。その目的は徳川からの伝令だ。
 曰く、徳川が力攻めを買ってでるとの事だ。
 官兵衛は驚き、嘘ではないかと訪ねるが、本当だと言う。
 曰く、負けなければよい。すなわち、虎口を落として勝ちにすればいいとの事だ。
 官兵衛は、権兵衛がかなり話を端折っている、と言う。しかし権兵衛は賢ければ、一を聞いて十を知れと開き直る。
 そして、城攻めの助言を官兵衛から得るようにとの家康自らのお達しである、と言う。
 権兵衛の話を聞き、家康のお達しとあれば謹んでお受けいたすと言ったのだ。


 と、言うわけで繋がる縁の中で、着々と権兵衛の逆転劇へと進んでますね。

 有利に進めているはずの豊臣が逆に攻めあぐねています。実際、兵站はギリギリと言う話は聞きますね。もう少し粘っていたら豊臣の方が瓦解してたとか。終始、豊臣の優勢って話が多いけど実情は違うものですね。大坂冬の陣でも徳川の士気がダダ下がりって話も聞くし、包囲するだけって包囲する側も大変なんだろうな。血の気の多い者達にとっては尚更。

 とにかく、様々な縁が結ばれ早川口の戦いへと繋がって行きそうです。堀久太郎の出番に期待しつつ、次回を楽しみに待ちます。

 

2019年5月6日月曜日

次々と結ばれる縁

 センゴク権兵衛136話と137話の感想。

 豊臣による小田原包囲が着々と進む中、権兵衛は山中城に戻ると言い出す。
 曰く、織田家名物試し合戦だ、と。

 先の城攻めで味方にも大きな被害が出た。だからこそ、次の小田原で被害を減らす為にも学び直すのだと言う。

 当初は不満だった部下も、試し合戦が始まれば皆夢中となった。
 滑る赤土、馬出しの仕掛け。仙石隊は北条の城を体験し、学ぶのであった。

 と、そんな彼らを見る者が。
 山中城の縄張図を描いていた黒田官兵衛である。官兵衛は殊勝な事、と言い。追い出しますか、と言った部下に対して不要と言うのであった。

 一方、大友吉統。山中城の木材を本陣に使おうと考えていた。しかし黒田官兵衛がいる事を知ると部下たちに山中城に近づくなと命令した。

 そんな中で、徳川より陣借りの許しがもたらされる。
 しかし、権兵衛は試し合戦を優先する。権兵衛は修練の大切を知っており、且つ皆が楽しんでいるからこその判断である。

 様々に結ばれた縁が、何かしらの実を結ばんとしていた。

 嘗て権兵衛と相見えた管平右衛門は早川の河口を調べていた。

 嘗て権兵衛と共に戦った可児才蔵は不貞腐れていた。韮山城を包囲する福島正則の陣に属しているが、単身小田原に乗り込むか、そう言う。

 そして、根来の僧も小田原へと向かっていた。

 本多正信より権兵衛の事を聞かされる家康。何処かで聞き覚えがある、と考える。すると口にした言葉は、糞。
 思い出したのは三方原。共にもらした権兵衛を思い出したのだ。
 家康は試し合戦が終わり次第、来るように権兵衛に伝えるのだった。

 総構を持つ小田原城。これを包囲する難点は東側。城の近くを通って進軍すれば、当然迎撃されてしまう。それを防ぐためには尾根伝いに進軍しなければならない。
 そしてその先、多古白山台地。小田原城を見渡せるここに家康は陣を築いた。
 しかし、豊臣はそこを織田信雄の陣にしようと考え、徳川を更に南へと陣を移すように要求したのだ。
 せっかく築いた陣。しかも南の平地は北条軍より攻撃される危険地帯。受け入れづらい要求だ。しかし、家康は受け入れざるを得ないと言う。
 
 徳川は酒匂川と山王川に挟まれた湿地帯の今井に新たな陣を構築し始める。仕寄りを造って安全を確保し、普請を開始する。
 しかし、敵の攻撃は激しく、陣を造るにも湿地帯で難しい。榊原康政は織田や豊臣に不満を言う兵を宥める。だが、本人もまた強い不満を抱えるのである。
 本多忠勝には支城攻めの命が下る。彼もまた不満を抱えつつ、命に従うしか無いのであった。

 試し合戦を終えた仙石隊が小田原に現れる。徳川の陣と思って来てみれば、すでに織田の陣に変わっていた。なので、織田の陣を後にして徳川の陣に移動する。その背後から、織田の兵が背中に気を付けろと小さな声で言うのであった。

 徳川の陣についた権兵衛たち。だが、まだまだ築城途中であった。そして、普請をしている者たちは皆、豊臣に不満を抱えていた。それどころか、豊臣に弓引くとき徳川に味方するか、まで言うのであった。
 徳川の不満。それは権兵衛にも理解できた。権兵衛は普請してる者と同じく泥の中に入る。そして言う。しんどい役目だが、成功させれば秀吉も出世させるしかない、と。
 自分も無茶な命令をこなし出世した。しかし、失敗して牢人になった。
 堪忍料を渡されても、誰にも必要とされないのは辛いと言う。そうして、徐々に権兵衛の話は愚痴へと移行する。
 権兵衛の愚痴を聞いて、毒気が抜けたのか、徳川の者は落ち着きを取り戻し、権兵衛に家康の居場所を答えるのであった。

 これを物見櫓から見ていた正信は家康に見所があると進言する。
 兎にも角にも人払いをして、家康と権兵衛の謁見が始まる。

 三方原以来の二人。
 家康は言う。陣借りにより三方原の借りを返した事にしていいのかと。権兵衛はそれで良いと言う。
 家康は更に言う。新たに頼みたい事がある、と。それは使番である軍使になって欲しいとの事であった。もちろん、権兵衛は了承する。そして、家康は関兼永の刀を与える。
 家康が権兵衛に望むこと。それは徳川と豊臣の仲を取り持つ事であった。


 遂にこの時が来た。って感じですね。これまで権兵衛が関わった人が多く出て、いよいよその時も秒読みですね。妙算も出るみたいで楽しみですよ。可児才蔵はずっと出ていなくて驚きでしたね。
 そういえば堀久太郎が全然出ないですね。たしかこの合戦中に……だからどこかで権兵衛と会いそうな気がするんですが。

 そして家康。若干気を置いている感じがします。三方原を思い出したせいか、それとも牢人の権兵衛なら肩肘張らなくてもいいと考えたのかな?
 いろいろ大変だけど、すっかり大大名の貫禄ですね。

 はてさて、いよいよその時が迫りそうで楽しみですよ。権兵衛の挽回劇、楽しみです。

2019年4月21日日曜日

二人の鬱憤

 今週のセンゴク権兵衛の感想。

 権兵衛は長丸に連れられ河原で石投げをしていた。
 長丸は権兵衛の事をよく調べていた。権兵衛は賢しいと言い、同時に忠告する。以前の自分だったら「九州で敗北」と聞いたら激怒し、叩き斬っていたと。
 長丸は何故斬らないのかと問う。権兵衛は自身での悩みや様々な人との出会いと助けにより辛抱が効くようになったと言う。
 権兵衛は長丸が三成に似ていると言う。悪意は無い、忠心もある、しかし人を腹立たせる性格。故に、奉行衆になり出世すべきと言う。
 しかし、長丸は三河武士に囲まれて育った故に戦場で駆け駆け回る武者に憧れていた。
 
 そして長丸は話を言い淀んだ。権兵衛は聞き流すと言う。それを受けて、大きな石を川に投げ入れると、話を続けた。
 父、家康は秀吉より銭を受け取っている。
 権兵衛は小牧長久手の戦から国を建て直す為の銭だ、と庇う。しかし、長丸はそれ以上に家臣達に秘匿しているのが納得出来なかった。
 権兵衛は言う。話を聞けば、銭を突っ返して豊臣と戦をせい、枕を並べて討死して国を滅ぼす方がマシ、そう言い始めるだろう。
 長丸は言う。自分も同じ気持ちだと。

 権兵衛は子供ぐらいある大きな石を川に投げ込む。そして、自分も同じだったと言った。だが、それで失敗し数え切れないほどの仲間を死なせた。こうして戦場に戻って武功を立てても、仲間は還らない。それに汚名も晴れぬし、恨みも消えない。
 長丸は問う、何故戻ってきたのかと。

 河原からの帰り道。権兵衛は答えた。未だに迷っている、と。
 ただ、良縁にはまった時まで腐らんように待つだけだと。

 しばらく歩くと一面のすすきが生えていた。遠くで茶を点ててる者がいる。
 道行く者にこの地の事を訪ねる。曰く、千石原だと。
 かつて源頼朝が「この草原を開拓すれば千石はとれよう」と称えたという。
 権兵衛と長丸は奇妙な縁を感じ、手を合わせるのであった。

 徳川の陣に帰り着いた長丸。賢人では無いけど、権兵衛との会話は得るものがあった。
 そして、父に陣借り出来るよう部下を通じて要請するのだった。

 秀吉はついに小田原の眼前まで兵を進めた。韮山城を攻囲していた信雄を、一部を残し、呼び寄せた。そして笠懸山に登り、小田原城を見下ろし、本陣となる巨城の築城を決定する。
 北条征伐もついに大詰めとなったのだ。


 秀忠の独白と権兵衛がなんとなく掴んだものを語る回でしたね。
 いろいろ迷いながらも、時を待つ権兵衛は等身大の人間って感じでしたね。成長してないようですけど、待つ事が出来るようになったのは立派な成長ですよね。
 後、秀忠が三成に似ている、ちょっと笑ってしまいました。豊臣と徳川で立場は違うけど考え方は一緒なんだなぁ、と。確かに秀忠は政治家として評価されていますからね。
 それと、さりげに権兵衛を賢くないって言ってる。秀家も似たこと言ってたけど。

 小田原戦もいよいよ終盤。徳川に陣借り出来た?権兵衛の活躍、楽しみです。

2019年4月14日日曜日

縁を辿って

 今週と先週のセンゴク権兵衛の感想。

 山中城を落とした豊臣軍。抵抗の強い韮山城を信雄に包囲させ、小田原へと兵を進める。そんな中、秀吉の元には多くの者が面会に訪れるのであった。

 竹林の中で、兜の後立を長くした権兵衛。秀吉に顔見せし、気付いてもらう算段だ。しかし、部下たちは批判し強引な帰参願いするよう言う。しかし、権兵衛は知らない者ならともかく知音はしないほうがいいと言う。何故と問う部下に、何となくとしか権兵衛は答えない。部下は更に言う。他家に士官する道もあった、それでも東国まで来たのは仙石家で共に復帰したいからだ、そう強く言う。
 権兵衛はその想いを理解している。しかし、だからこそ駄目だと考える。想いで突っ走ればその先にあるのは共倒れ。権兵衛はそれだけは避けたかった。皆で生きる道を歩みたいのだ。

 諸将との会見を終え、秀吉の一行が竹林を通る。道の両脇には多くの者が平伏していた。その中に権兵衛もいた。
 秀吉は気づき、仙石権兵衛なるか、そう言った。近習の者が命の如しと答えた。が、秀吉はそれ以上何も言わなかった。
 何も無かった事に憤懣やる方ない部下たち。そんな中で権兵衛は笑い声が聞こえた。そして思い出す。竹中半兵衛の事を、そしてその時秀吉と交わした会話を。
 知音に何かを求めたり利用するのを嫌う。
 秀吉もまた思い出していたのだった。

 彼の人に合掌する権兵衛。しかし、事情を知らぬ部下たちは未だ不満であった。


 箱根は芦ノ湖まで兵を進めた豊臣軍。多くの夫役が告示されていた。
 本陣となる城の普請が大規模で秀吉の目に止まりやすい。権兵衛はそう考えていた。しかし舞い込んでくるのは夫役ばかりで軍役では無い。軍役は韮山や上野武蔵方面で秀吉の目には止まりそうにない。
 村吉は言う。皆、腐りかけていると。このままでは逃散や盗人になってしまうと。
 藤兵衛は言う。有力な大名に陣借りして少しでもマシな役目をもらうべきだと。
 有力な大名へのツテが無いわけではなかった。しかし、二十年以上も昔のことである。うまく行くかは分からない。しかし、このままでいいわけ無い。権兵衛は一人その大名を訪ねるのであった。
 陣まで行くと、嘗て会ったことがある陪臣の今橋に遭遇した。早速、取り次いで欲しいと願う。だが、やはり難しかった。豊臣政権で二番目に権勢を誇っているのだ、取次の数も多い。そう簡単には会えぬのだ。
 もはや諦めるしかないのだった。

 その帰り。必死に心を鎮める権兵衛。古溪和尚に合わなかったら、とっくに心折れていた。権兵衛だって不満が無いわけでは無い。むしろ一番鬱憤が溜まっているのだ。その想いを乗せ石を蹴ろうとする。すると、それを静止する声が聞こえた。
 それは自分が蹴ろうとした石だと、目の前の身なりの良い子供が言った。
 権兵衛は間髪入れずに子供の頭を叩いた。そして言う、この石は自分の縁が導いたと。すると子供も身共が導いたとも言えると反論する。
 続いて権兵衛は自分の悩みが大きいと言い、それに対して子供は自分の方が大きいと言う。権兵衛は子供の父が自分と同じ陣借りだと思っていた。しかし、父に失望したと語った子供は父の家臣は何万人もいると言う。
 権兵衛は自分が失敗した事に気付いた。石を渡し、今あった事を忘れるように言うのだった。

 顔面蒼白で帰ってきた権兵衛。そこに、とある大名の子息が人を探していると言う話が飛び込んできた。

 変装して子供の元へと参じた権兵衛。しかし見抜かれてしまう。権兵衛が会った子供、それはツテを求めていた徳川家康の子、長丸であった。
 長丸は権兵衛に共に河原で石投げをしようと誘うのであった。

 
 なかなか上手く行かない権兵衛。秀吉との縁は強いといえど…って感じですね。そんな中でのまさかの長丸、後の秀忠の登場ですよ。まさか出るとは思いませんでした。縁が結んだまさかの出会い。ここから家康との縁が繋がるのでしょう。家康がどういう反応を見せるかも楽しみです。

 長丸とはここから意気投合するのでしょうか。この後も厚遇されてますからね。
 そういえば秀家とも意気投合してたような…権兵衛の能天気さが二代目には心地よいのでしょうかね。

 そういえば、本陣となる城は石垣山一夜城ですね。センゴクでは軽く流されるのか詳しく描かれるのか、それも楽しみです。一応、北条への揺さぶりの一貫だからきちんと描くのかな?とにかく次回が楽しみです。

2019年3月31日日曜日

それぞれの想い

 今週のセンゴク権兵衛は休載だったので、先週号に載った回の感想。

 秀次自身が城攻めし、僅か半日で陥落させた山中城。これは望外の功であった。
 秀吉は天下人の戦では無い、と言いつつも敵に与えた衝撃は大きいと言った。秀次の功を喧伝する事にする。が、前野や桑原は秀吉旗下の黄母衣衆の投入こそが勝因と言うのであった。
 ともあれ、秀吉は秀次にも真心を注いでいる、そう言うのであった。


 秀次の元に吉政が現れる。今回の武功を褒める為である。しかし、秀次は険しい顔をしていた。彼は解っていた、自分が焦っていた事を。今回は偶々武功になったのだと。
 吉政は言う。とかく成功した、と。これで次代の天下人は秀次と皆は見ると。
 秀次は言う。叔父上の喜ぶ顔が見たいと。

 仙石隊は遺体の収容をしていた。籐兵衛は村吉に言う。此度の消極策は英断と。大名の一柳までもが討死している、仙石隊が全滅していてもおかしくない。
 一方、村吉は言う。悲壮な覚悟で来た者もいる。渡辺了の武功を目前としているのだ、腑に落ちない者がいてもおかしくないのだ。
 これでは、まるで。そう言いかけた村吉の言葉。それに続くように三国一の臆病部隊と言う声が聞こえた。遺体を運びつつ現れた権兵衛の声であった。
 権兵衛は言う、まずは大局が一番と。そして更に言う。あの時嫌な予感がしたと。
 もし、あのまま乗り込んで武功争いになれば、下手したら逆さ磔になる。その可能性もあったと権兵衛は言う。
 藤兵衛は考え過ぎと言うが、そこに渡辺了と黄母衣衆がもめとるとの噂が聞こえてきたのであった。

 さて、再び吉政に呼び出された権兵衛。そこで秀吉と秀次の関係を相談される。
 政治的な思惑も重なり、心から秀吉が秀次を褒めてくれるのか、と。
 秀次は言う。こればかりは直接会わねば分からんと。そこで吉政は秀吉の様子を見て欲しいと言うのだが、当然不可能。権兵衛は自分は牢人だぞ、と反論する。
 うっかりしていた、そう答える吉政。と同時に権兵衛の復帰を願う。無論権兵衛も早く復帰したい。だからこそ、とりなして欲しいと言う。
 しかし、根回しも癒着扱いされる昨今である。吉政は難しいと言うのであった。


 秀吉は他の物が見ている前で、秀次を大いに褒める。徳川との敗戦を許し。尚且、学んび成長した秀次を天下人として申し分ない、と称える。
 秀次は涙を流し喜ぶのであった。

 秀吉へは様々な者から手紙が来る。その中には女房衆もある。秀吉は返信で、淀殿だけでは無く、他の大名達の妻も呼び寄せようと書いたのだ。と、同時に鶴松への想いも。

 そんな事は知らない権兵衛は、秀吉に気付いてもらえるように兜の装飾を伸ばそうか、とか考えているのだった。


 最初、馬の角を伸ばすのかと思った。
 よく見ると、サジの後立を触っているんですね。

 さて、秀吉と秀次の間は微妙な空気ながら、秀吉の人たらし部分が復活しているので上手く言ってますね。このまま何もなければ、豊臣政権は盤石ですね。
 でも、そうはならなかったんだよ……

 あと、権兵衛は上手く行きそうで行かない、って感じ。少なくとも最悪は避けれているけど。とはいえ、その時は近いのでしょうけどね。

 山中城を抜き、次は小田原城です。この先も楽しみですね。
 

2019年3月17日日曜日

呆気ない幕引き

 今週のセンゴク権兵衛の感想。

 遊撃隊を登らせた後、それに続き権兵衛達も土塁を登る。
 登った先には堀。その底には何人もの兵が落ちていた。それを見て部下達は先を急ぎ武功を立てようと言う。しかし、権兵衛は助けるのが天命と言いはしごを持ってこさせる。
 藤兵衛らはその命を支持し、仙石隊一丸となって仲間の救出に乗り出すのだった。

 堀を越え、出丸に侵入した渡辺率いる遊撃隊は三ノ丸方面へと進撃する。しかし木戸口の守りが固く、撃退される。守る松田康長は、大きな声で兵を鼓舞していた。

 だが、状況は悪かった。北条氏勝は松田を呼び、援軍を頼む。搦手から侵攻する徳川軍が精強だからだ。松田は快諾し、その上で言う。氏勝に逃げるようにと。
 松田は、大軍ゆえの油断を期待したが、その様子はまるで無い。このままでは半日も持たないのが彼の見立てであった。氏勝はその提案を受け入れ、城を出る。そして松田は城と運命を共にするのであった。

 一見、無謀に見えた秀次の力攻めは成功した。歴戦の将達が容赦なく、連携をして城を攻める。
 中村隊が城内に侵入。搦手を攻める徳川軍に対して兵が集中する。この兵の移動に紛れて遊撃隊が二之丸まで侵入に成功した。
 豊臣軍諸将が攻め立てる中、秀吉は精鋭の黄母衣衆を投入する。
 松田康長は討死し、狂騒の中引き鐘がなる。難攻不落の堅城、山中城は僅か半日で落城したのだ。それは豊臣の強さを知らしめるに十分過ぎる事であった。
 しかし、犠牲も多かった。敵味方で二千近くも死亡したのであった。

 そんな中、味方の救出をしていた権兵衛は武功無しで終えたのであった。


 色んな意味でエゲツない、物量作戦で山中城は落城したました。そういえば、紀州辺りでもそうでしたね。というか、そこが物量作戦の嚆矢にしてましたね。

 十分過ぎる戦果を上げた豊臣軍。次はそのまま小田原攻囲ですね。その後は支城の戦いも描くのかしら。と、言うか権兵衛の活躍はどこで描かれるのか。色々と気になる事が多いですね。
 あと、家康とどこかで対面するのかな?次回以降も楽しみですね。

2019年3月3日日曜日

赤土の城

 先週と今週のセンゴク権兵衛の感想。

 物見櫓より、山中城を遠望する秀吉と家康。石垣を用いてない山中城を見て、力攻めを選択する。

 秀次の筆頭家老、田中吉政の元に山中城の土が届けられる。彼はその土を食べ、味が違うと言うのであった。

 地元の猟師と共に秀次に献上する雉を獲っていた権兵衛。その時、滑って転びそうになってしまう。そこで気づき、猟師からも土が違うと聞く。山中城から先の関東は赤土。現在で言う関東ローム層である。滑りやすいこの土は、焼き物や農業には不向きな土である。反面、城造りには有利に働く。他よりも高く、滑りやすい土塁が出来るのだ。
 これこそが、北条の城の堅牢さを作り出しているのだ。

 陣借りの権兵衛に吉政から招集がかかる。そこには見知った大名、一柳、山内、中村もいた。つい昔の感覚で権兵衛は話しかけるが、皆は返答の代わりに咳払いをするだけだった。権兵衛は己の立場を弁え、下がるのだった。
 吉政が皆を呼び出したのは、ここの土が普通の土を違うことを知らせる為だった。権兵衛もここぞとばかりに、赤土は滑ると叫ぶが咎められる。
 さて、吉政は力攻めは控えるべきと考える。だが、秀次の意向、そして秀吉も力攻めを決断した。すでに諫言は能わず、ならば身命を賭して山中城を落とすと言う。その言葉に皆は鬨の声を上げるのだった。

 皆が帰る中、吉政は権兵衛に声を掛ける。吉政も権兵衛の事は知っていたのだ。吉政は権兵衛が陣借りにしては勇んだ目をしてないのを疑問に思い、声を掛けたのだ。権兵衛は答えて、それで失敗し、ここで野盗扱いされてると言う。吉政は重ねて尋ねる、何しに来たのかと。権兵衛は戦場がしっくり来るからと答える。
 吉政は持っている握り飯を権兵衛に勧め、言う。救援部隊に回ってくれぬかと。

 権兵衛はこれを快諾した。しかし部下達は不満であった。権兵衛はこれが天命と思い、さらに失敗の恐ろしさを誰よりも知っている自分たちこそ相応しいと言う。だが、部下達は渋々認めるのであった。

 ついに、山中城の攻城が始まる。出丸への先陣は一柳、中村、山内の3隊である。しかし、秀次に最初に届いたのは大名格の将の討死の報であった。

 討ち取られたのは一柳直末。やはり、土が滑って大将を守れなかったのである。配下の者が影武者をするも、一旦退かざるを得なかった。

 その報を聞き、立ち上がる秀次。前野長康に落ち着くよう言われるが自分は冷静だと言う。秀次は家康に敗れた時より学んで来たと言い、その戦術眼を示す。
 一柳隊はまだ士気が落ちておらず、退かせれば逆に全体の士気が落ちると秀次は見る。大将無き一柳隊は大手を攻めるふりをさせ、囮をする。中村隊に後詰を送りこちらを主攻とする、そういう考えだった。
 一柳隊に援軍を送らぬ冷徹さ。前野は了承し、命令を伝えに行く。吉政は、秀次自身も攻め登るを逸らぬように言い、秀次も了承する。

 権兵衛達に命令が下る。あえて中村隊を救援する事に、秀次がここが攻め時と考えている事を権兵衛は悟る。その事を配下にも伝え、武功に焦らぬよう言い救援に向かう。

 物見櫓から戦況を眺める秀吉は不満であった。敵の何十倍もの兵を持っているのだ。イチかバチかの攻勢に出るなど天下人の戦では無い、そう思った。だが、すでに攻勢に出た後である。秀吉は法螺を呼ぶのであった。

 中村一氏は攻め倦ねていた。他の隊が動かぬからだ。配下の渡辺了は今が覚悟する時だと言う。そして、そこに秀次からの救援が届く、今が攻め時との命と共に。
 一氏は主力が敵を抱える間に遊撃部隊を攻め上がらせる。そして救援に駆けつけた権兵衛にも遊撃の渡辺を助けるように言う。遊撃の助けの為に、はしごの支えや肩を貸す仙石隊。そんな土塁越えの最中、秀吉の法螺の音が鳴り響く。総攻撃の合図である。
 土塁を越え、出丸に侵入する渡辺を始めとする遊撃部隊。しかし、彼らの前に現れたのは北条系城郭の妙、障子堀である。


 まさかの、田中吉政の登場である。これは予想外ですね。近江八幡や岡崎柳川など築城でしられる彼だから、土の違いをしれたのですね。おにぎり持っていたりしてたのは、領内を弁当持って見回ったエピソードからですかね?たしかそんなエピソードがあったはず。今後の活躍が楽しみです。

 そして、秀次。確かに有能になりましたね。冷徹な判断も出来るし。ただ、ちょっと秀吉と考えがずれているのが心配です。まぁ結末は、ああなるんですけどね。

 波乱の山中城攻城戦。次に現れるのは障子堀です。堀障子って書いてありましたけどそれでも正解なのかな。兎に角、ワクワクな展開が続きますね。楽しみです。

2019年2月17日日曜日

天下統一の仕上げ

 今週は休載だったので、先週号のセンゴク権兵衛の感想。

 仙石隊が進むのは東海道。
 北条は小田原を中心に百五十以上の支城群を網の目に張り巡らしている。その中で東海道筋で敵を阻むのが山中城。東海道を取り込み、まさに道を塞いでいるのだ。

 山中城では普請が急いで進められていた。城将は松田康長、兵や民を言葉で鼓舞していた。だが、それは空言。その内情は非常に厳しいものであった。
 松田以下、城の者達は皆死ぬ覚悟であった。ここで奮戦し、玉砕し、有利な和睦条件を引き出すのが狙いであった。そして、悪逆の道ではない、北条の繁栄の為だと言う。

 北条氏勝はそう、氏直に報告した。氏直は奉謝の意を告げるのだった。

 一方大阪では、沼田で流言をした辯士衆に官兵衛が接触していた。
 なるべく力攻めでは無く、相手が自壊しての勝利を望んでいた。それは勝利の後の統治を考えてのことであった。その為、辯士衆に暗躍して欲しかったのだ。
 辯士は快諾し、豊臣より北条を批難させるよう、関東へと旅立つのだった。

 豊臣の準備は万全であった。諜報により大方の支城が把握されていた。すべてが数字で表わせ決定できるまさに、数の戦である。
 天下人には将兵と数字が同義になるのだろう。

 そして天正18年2月、諸将が出陣する。その数、19万。
 秀吉が出陣するのは3月朔日の事である。総兵力は22万。空前絶後の動員であり、まさに戦国時代の終幕を象徴するものであった。

 仙石隊が含まれる東海道の先手は家康と秀次。嘗て長久手で戦った両者である。総兵力は7万。一方北条の山中城には、松田康長と北条氏勝を始めとする5,000弱であった。

 秀次は鼎の軽重を問われると言い、力攻めを希望する。そして兵を鼓舞するのだった。一方の家康は秀次の意向に従う模様。
 そんな中、権兵衛は秀次を支える事に尽力しようと考えるのであった。


 家康との対面があるかな?と思ったけどありませんでしたね。普通に軍勢に混じってたし。
 いよいよ、決戦ですが。官兵衛は裏で暗躍ですね。ただ、過去編を見ていると上手くいかなさそうですけど。それでも結果は官兵衛の思惑通りなのかな?
 次回から山中城の激闘ですけど、そこが終わるとこの方面だと戦いらしい戦いは無いんですよね。他の支城群の戦いも見せるのかな?水攻めの忍城とか根切りの八王子城とか色々ありますし。もしかしたら伊達政宗も顔をだすかも。
 ともかく、権兵衛の挽回から目が離せません。

2019年2月3日日曜日

新たな第一歩

 先週と今週のセンゴク権兵衛の感想。

 旧臣を集める為、美濃へと戻った権兵衛。しかし、その事を知らぬ一団が京にいた。
 鷲見藤兵衛達であった。権兵衛に協力する為に集ったのだが、肝心の権兵衛がいなかったのだ。
 京で、高野山の無用ノ介こと岡田平内とも合流したが、依然権兵衛の行き先は分からなかった。

 なんとか、美濃に辿り着き合流出来た藤兵衛達。
 集まった者たちを前にして権兵衛は感謝する。そして、言う。それに報いる為にも一緒に戦をしようと。
 その言葉に皆奮い立った。

 旧臣も新参も皆、戦支度を始める。軍資金は少ないので鎧は修繕して使う事になる。

 藤に手伝って貰い、具足を着ける権兵衛。そして、思い出す、信長が言っていた言葉を。「この時代を好いておる」、権兵衛はその言葉を理解したのだ。


 いよいよ、権兵衛は出陣する。無の旗を掲げ、付き従うは三十騎である。
 そんな彼らが最初に向かうは岐阜城。権兵衛が戦国の世に足を踏み入れた地である。
 
 稲葉山での戦を思い出す権兵衛。生きると言い、我武者羅に戦った。
 そして信長の配下になった。信長の先は光り輝いていて、兎に角それに向かって走っていた。皆が信長に憧れ付き従った。反面、重臣には重荷になったようだが。
 そんな事を配下に語り、次は桶狭間の道を辿る為、清須に向かう。

 清須から熱田神宮に向かい、参拝する。そこで今度は秀吉との思い出を語る。
 最初は好きでは無く、秀吉も嫌っていた。しかし、半兵衛に面白がられ、分かり合い、数多の死線を潜り抜けた。
 そして、その中で秀吉の凄さを実感するのだった。
 常に先々まで見通し、策を巡らせる強かな人物。そして、権兵衛は信長亡き後も考えていたのでは、そう推察する。
 そして、自分が出世したのは秀吉のお蔭であり、その命令を破ったから失敗し浪人になったのだ、そう語る。
 配下が言う、何故命令を無視したか?と。
 権兵衛は色んな理由はあるだろう。しかし、結局のところ稲葉山の頃から何一つ変わってないのだろう、そんな事を言うのであった。

 この昔話も無になる為であった。無になって、新たな第一歩を行く為であった。


 相変わらず、変わってないようで変わったようで変わらない権兵衛ですね。やっぱり変わったのかな?
 戦国を憎んでいると言った秀吉とは真逆の事を思っているのは、少々不安な感じもします。と同時に、秀吉と信長もまた違って来た、って感じですかね。このあたりの不穏な描写は関ヶ原に続くのかな?そこまで連載続くか分からないけど。

 回想しつつ、新たな決意をする権兵衛。この後は家康と会うのかな?まぁ、陣借りするはずなので次回がそうかな?三方原の回想も楽しみです。

2019年1月14日月曜日

戦へと

 年末年始で合併号が続いたけど、とりあえず。
 前回(124話)と今回(125話)のセンゴク権兵衛の感想。

 豊臣に臣従の意向の氏直。そんな彼に氏政は、北条四代は広大な城よりも、もっと大事なものを築いたと説く。それを識る為に城下に出るよう勧める。

 身分を隠し、車に引かれ城下を見回る。車を引く者は氏直とは知らず、城下の案内をする。彼は言う、民は戦いを望んでいると。正しき国、北条の為に戦いたいと。
 動員令に反し、足弱な老人や、若年者、皆が北条や身近な者の為に戦う事を決意していた。

 城下を見聞し、氏直は父の言った大事なものに気付く。

 氏直は虎印判を受け取る。初代早雲から築き上げたもの。彼は父を民を気高きものとし導いたと評し、民を護る為戦う事を決意する。


 秀吉はすでに北条征伐を決意していた。
 その水軍の編成を奉行衆は秀吉に見せた。ところが、小一郎の軍勢が少なかった。
 早速、間違えと指摘するも秀吉の勘違いであった。小一郎は病気の為、秀吉が兵を少なくするように言ったのだった。
 秀吉は特に気にすること無く笑い、赤子を抱けば病も吹き飛ぶと言うのであった。

 次いで、家康上洛。北条について話し合う。とは言え、秀吉の目論見通り、相手に開戦の意思あり、であった。
 そんな中で家康は妻の旭の事を秀吉に聞いた。秀吉の妹でもある旭。秀吉の母の看病の為に豊臣家に戻っていた。
 秀吉は多少心労を懸けたが、少し休めば元気になると言う。そして直に家康の元に帰すと言った。

 それより十日以上が過ぎた。今度は上杉景勝が直江兼続を従え、謁見した。
 彼らが献上したのは白鳥。秀吉は大変上機嫌であった。
 嘗て、景勝の義父謙信が落とせなかった小田原城。秀吉はどう落とすか景勝に尋ねる。景勝は蒙昧にて、と答えると秀吉は破顔する。そして答える、二十万の兵で一年囲う、と。
 秀吉は言う。兵糧こそ重要で、それ算用する奉行衆こそが時代を担っていく。そこには義も無用と。
 嘗ては木っ端浪人であった秀吉、それが今では誰もが恐れる権力者となった。
 世は不条理であり、変わりゆく。それについていけぬ者は滅びる。
 秀吉は言う、自分が最も戦国を憎んだ者だと。そしてその自分が戦国を終わらせるのだと。

 そして年が明け天正十八年。
 天正大判の前ではしゃぐ秀吉に急報がもたらされる。妹、旭の死である。
 秀吉は早速、坊主共が祈祷を怠ったと言い処罰をしようとする。だが、母がそれを一喝する。そして言う、銭の力でもどうにもならない事があると。
 秀吉は言う。旭に心労を懸けたのは自分だ。なぜ、母は叱らないのかと。
 母は言う。秀吉が一代で大きくした家、それを壊してはならないと。

 旭の死去の報は家康にも届く。だが家康の心は変わらず。真の忠誠は戦場で示すと言う。

 権兵衛は囲碁を教えている川坊の元に来ていた。権兵衛は北条征伐において陣借りする事を決めていた。そして、その台所の算用を川坊に求めて来たのだった。渋る川坊に権兵衛は言う、戦場こそが自分を繋ぐ縁に綺麗に当て嵌まるのだと。その上で、鉄砲が一丁欲しいとまで言った。
 理由は勘だと言う権兵衛に呆れ、それでお家取潰しでしょと川坊は言った。


 
 北条編、良かったですね。
 特に、氏直の氏政評。とかく、愚将とされる氏政をそうでは無いとしてて良いです。
 気高き民の国。だからこそ、上杉の小田原征伐で終わるんですね。

 そして、合戦前の準備。
 秀吉は多少大人しくなったけど、まだまだ奥底に激情を秘めてます。この後の事を考えると……まぁ、そうなるかなぁ、って。

 で権兵衛。変わったようで変わらないですね。川坊は受け売りと言ってますが、そうでは無い…はずです。色々あったけど、一周回って戻ったのかな?少なくとも川坊から見たら以前通りなんでしょうね。

 兎にも角にも、いよいよ戦も間近。これよりの権兵衛の活躍、楽しみです。