2020年1月26日日曜日

後始末

 先週と今週のセンゴク権兵衛の感想。

 仙石隊の勝鬨が響く。それは寺で療養中の堀久太郎の元まで聞こえた。
 
 仙石隊は続いて焼き働きを行う。ただし、民衆には手を出さず、捕虜も無用と権兵衛は命じた。

 鷲見は旗を探していた。虎口に立てるべき旗が何処かにいったからだ。森は心の旗を立てている、等と冗談を言っている。
 そんな中、岡田が現れる。生きていたのだ。曰く、二人が信用出来なかったから死ぬに死にきれんのだ、と。
 二人は、土下座して謝る他なかった。

 旗は牢人衆が見つけていた。彼らは旗を仙石隊に届ける事にする。
 そして、本間を称えた。しかし、本間は臆病だったから、と言う。そんな彼に牢人衆はさらに言う、臆病さを誇れ、と。
 本間はそんな彼らをまた称えるのであった。

 仙石隊に戻った旗。
 権兵衛はそれを立てたら退却する、と言った。ざわつく部下達。なぜ、虎口を落としたのか権兵衛に聞く。権兵衛は旗を立てる為、そう答える。そして問う、不満か、と。
 誰も不満に思う者はいなかった。

 早川の虎口に無の旗印が翻った。

 そんな中で妙算が帰ろうとしていた。もうすでに皆、覆面の下の正体を知っていたので止める。あろうことか、妙算が当主になっても良いと言う始末。
 残念ながら、権兵衛にはしっかり聞こえている。ばれた者達はそそくさとその場を離れるのだった。
 権兵衛は妙算に小さい筒を渡す。戸次川の戦死者の菩提寺を記したものであった。妙算からの要望であった。
 権兵衛は手負いと共に先に退けと言う。そして、身に着けた土鈴を渡す。
 権兵衛は銭にはならんと言う。しかし妙算は、天下国家はその下らない土の取り合いで星の数ほど殺し合ってきたと言う。
 妙算は更に言う。天下人に再び会うなら、このまんまじゃロクな死に方しないと言ってやんな、と。
 権兵衛は今更ながら理解する。妙算は天下国家から争いをなくす事を考えていた、途方もない大馬鹿だと。
 妙算は言う。だから気が合ったんじゃねぇか、と。
 二人は合掌を交わす。

 久太郎は語る。草木には実と花が成る。実は種にも食糧にもなる。しかし花は美しくも何の役にも立たない。久太郎は実にならんと働いていた。
 しかし、僅かな人生においては花こそ甲斐があるのではないか。
 信長を花と散らせた逆徒の心も、今は分かるかもしれない。

 権兵衛はまた一つ土鈴を千切り、渡す事を考えた。

 久太郎は、権兵衛を祝う。気味良き徒花、と。

 仙石隊は帰陣した。
 そんな中に萩原孫太郎が現れた。今は酒匂彦三と名乗っている。
 そして、此度の顛末を聞き、驚くのであった。

 ただ、一つ問題があった。今回の合戦働きはヤマイヌの計の陽動策だった。
 にも関わらず、抜け駆けし、虎口攻めをしてしまったのだ。池田、黒田、徳川の三家は待ち惚けを食らってしまったのだ。
 それを聞き孫改め彦三は、不参加だった代わりに謝罪に回る事にした。
 因みに、現家老の森は彦三を家老代に任命して任せるのだった。

 まずは池田家。仙石家にも折り目正しき者がおるようで安心した、と言われる。
 そして赦された。
 照政にとって徳川は父と兄の仇である。だがしかし、今後の世情を考えるなら私怨、私戦は停止すべき。むしろ徳川と縁が出来た事を喜んでいた。

 次に黒田家。官兵衛はすでにこうなる事も予想済みであった。
 権兵衛には文句はあるようだったが、彦三のような折り目正しき者がおるようで安心した、そう言った。

 彦三は仙石隊の評判が気になってくる。案内している者曰く、海賊や山賊のような感じだとか。

 最後は徳川家。出てきたのは本多佐渡守である。
 既に、仔細は伝わっていた。そして家康に具申した結果、不問にする、との事であった。
 ただし、一つだけ条件があった。権兵衛を軍使にした事について、なかった事にしてほしい、と。彦三は快く引き受け、徳川家に迷惑を掛けぬと言うのであった。

 あとは秀吉の意向だけである。
 家康は考えていた。温情か不寛容か、それにより今後の豊臣政権の指針が見える、と。

 早雲寺に奉行衆らが集まっていた。その中には権兵衛と歌会で会った男もいた。
 話し合っているのは今回の仙石権兵衛の働きについてだった。賛否両論ある中で、大村がある種の畏れを抱いている、と言う。
 関東征伐が発令された時の数多の武者の騒ぎよう。彼らはもはや合戦を止める事能わざる者どもではないかと。以前起こった、大坂での千人切り事件も、また同じではないか、と。
 九州での失敗の反省無き仙石家の者ども、このまま野放しにして良いのか。

 そんな緊迫した中、秀吉が現れる。秀吉が出した命は一つ。明朝、仙石権兵衛を呼ぶ。ただそれだけであった。

 明朝決まる運命。しかし権兵衛は今は只々、深き眠りに付くだけであった。

 
 遂に旗が立ち、虎口攻めも終わった。しかし、まだ後始末が残っています。
 秀吉と会った時に妙算の言葉言うのかな?下手したら切られそうだけど。

 妙算とはこれが最期の別れになるのかな。それにしても、戦を無くす方法を考えていたとは、そして権兵衛もまた…ですかね。小田原以降書かれるなら、このあたりの心情も書くのかな?続くかは分からないけど。

 そして孫も再登場。皆に代わり謝罪に回ります。
 それにしても、鷲見と森はすっかりギャグキャラですね。締める時は締めるけど。
 仇の徳川と縁を結んだ池田、権兵衛の事は分かっている黒田、そして寛容を見せた徳川。それぞれがプラス面を見つけたんでしょうね。官兵衛だけはなさそうだけど。

 そして、戦を止める事が出来ない者たち……
 これは大坂の陣まで問題になる事ですね。そしてその後も…
 その対策が唐入りになるのかな。ただ、小田原で最終回なら書かれない事になるけど。

 そして遂に秀吉との対面。どうなるか楽しみです。
 ついでに、小田原終わったら外伝として関ケ原編と大坂編やって下さい。

2020年1月5日日曜日

虎口を落とす

 センゴク権兵衛、159話の感想。

 須田は笠原を堀底へと落とした。
 そんな中、権兵衛達の部隊が雪崩れ込む。一方、虎口の外では堀隊が太鼓と空砲を鳴らしていた。敵を狼狽させるためであった。

 陥落間近であった。ここまで眺めていた秀吉だったが、急に馬に乗り本陣へと帰ろうとする。曰く、天下国家の事業がある。たかが虎口一つ、塵芥の牢人衆に係わっている場合ではない、と。

 牢人達が、それぞれ協力し合い、力を出し合い、敵を蹴散らしていく。
 当然、権兵衛達の配下もそうであった。

 堀底へ落ちた笠原は落胆する。半分の正規兵を放置したまま、寡兵の敵に敗れようとしている事に。

 権兵衛の前に須田が立ち塞がる。須田は権兵衛が大将か、と尋ねる。だが、権兵衛は違うと言った。須田は直ぐに気付く、指揮者不在だからこその合戦ぶりだったと。
 それを聞き、権兵衛は彼の賢さに気付く。合戦が無くなっても食い扶持がある、そう言った。
 だが、須田の覚悟は決まっていた。

 笠原は見ていた、須田が討ち取られる所を。そして気付く、勝てた戦だったと。幾度も勝つ機会があったと。
 自らの将器を過信し、徒に我が命にのみに従わせた。それが為に兵は存分に戦う事能わずに負けたのだ。
 そして、悟る。指揮者が為すべきなのは、我が兵が背負う恥を我が身で一身に背負う事である、と。

 笠原は全軍に叫ぶ、退却と。その声は虎口中に響いた。
 退き太鼓も鳴り、その後に虎口に響いたのは、攻め手仙石隊を始めとする牢人衆の歓声であった。


 遂に決着ですね。
 そして、権兵衛の挽回の物語も終着地ですね。稲葉山陥落から始まったセンゴクのお話も遂にここまで来ましたか。感無量です。ただ、北条との戦はまだ続きますが。

 敵将笠原は漸く、将たるが何か理解する事が出来ました。けど、今後挽回出来るのかな?もしかして、豊臣と講和を結ぶ切っ掛けになったりするのかな?

 兎にも角にも、権兵衛の挽回の為の戦いも終結、次回も楽しみです。