2020年9月22日火曜日

最初の兆し

  センゴク権兵衛の感想。
 サボった所為で、四話ぐらい溜まったので簡単にまとめます。

 第184話
 病を得た小一郎の元に秀吉が見舞に現れる。秀吉は政治の相談をするが小一郎は何も語らない。すでに、小一郎は寿命を悟り、折り紙で鴨を折り縁者に送ろうとしていた。
 小一郎は言う。長生きするように、と。
 秀吉は小一郎の事より、今後の政権運営を危惧する。そんな秀吉の目に幼い兄弟が映る。
 そこで思う。自分一人で天下を獲ったんじゃない、と。そして、小一郎を案ずる余裕がない自分は何動かされているのかと。

 第185話
 奥州で一揆が続いていた。そんな中、奉行衆が京に呼び戻された。来春の唐入りが決定されたからである。
 明に攻め入るには朝鮮を経由しなければならない。しかし、対朝鮮外交は小西と対馬の宗に任されており、奉行衆はその内容を把握していない。そのような状態で政権運営をしなければならなかった。
 そして、朝鮮使節が訪れる。秀吉の全国統一を祝って。
 秀吉や奉行衆は服属の使節だと思っていた。それは小西と宗の飛び石外交の結果であり、秀吉からの過度の要求を緩和させた為であった。
 結果、両国は齟齬を抱えたまま、交渉は膠着状態に陥ってしまった。

 第186話
 小諸の在地衆は決断を迫られていた。小諸に残るか、依田の転封地に行くか、である。
 また、誰かが抜け駆けをして新領主に取り入ろうとするのでは、と疑心暗鬼になっていた。
 そんな中、権兵衛が小諸に入封した。その祝いに村長らが召し出された。
 緊張の中、面会が行われる。権兵衛は言う。平伏はしなくていい、自分の顔を覚えるように、と。そして、扇子を一人一人、手ずから渡すのであった。
 小諸の統治は始まったばかり、問題も多い。だが、権兵衛は言う、まずは小諸を好きになる事だと。そうして、小諸祇園の宮の参拝を重ねるのであった。
 一方、大和では大きな出来事が起こっていた。
 小一郎は遺言を書いていた。そして考える。秀次に宰相は重責すぎる。そして家康の指南を受ける内に……小一郎は最も剣呑なのは彼なのでは、そう考えるのであった。

 第187話
 遂に小一郎の最期の時が迫る。彼は娘のおみやと婿養子の秀保を呼ぶ。だが、兄に伝えようとした重要な事が思い出せなかった。変わり思い出話をする。人見知りで兄しか話す相手がいなかった。だが、兄は有益な話が好きだ。だから有益な話をした。そうして気が付けば日ノ本を背負う宰相になっていた。話をするだけでよかったのに。そして最期に二人に言う、出世は無用、夫婦息災に、と。
 天正十九年一月二十二日天下宰相権大納言豊臣秀長薨去。
 豊臣政権は豊臣家は上へ下への大騒ぎとなった。
 茶々も大和へと行こうとした。だがそんな中、秀吉が鶴松に会いに来たのだ。鶴松をあやしながら、小一郎は大志を捨てたと言う。茶々は怖気ずに言う、弟の下に参らないのかと。
 秀吉は激昂する。そして、茶々と二人になると、小一郎を弟としてではなく、政権の柱石を担う宰相として話をし始める。
 そんな秀吉を茶々は殴る、涙を流して殴った。
 秀吉は気付いていた。自分はできる者にしか情が湧かないと。だから知らんうちに弟をできる者に仕立て上げて、身も心もボロボロにしてしまった、と。
 茶々は秀吉を抱きしめていた。秀吉は礼を言い、少し楽になったと伝えた。
 訃報は権兵衛の下にも届いた。そして鴨の折り紙も。それを見て、権兵衛は安心する。晩年は政の事を忘れる時間もあった、と。


 と言う事で、不安が続く展開でした。小一郎の事、秀吉の事、そしてこの先、暗雲が立ち始めましたね。秀吉も情と理がだいぶ不安定な感じがします。むしろ極端と言うか、怖いですね。更に小一郎の家康に対する不安。本当に、秀吉の力で政権がもっている、って感じがします。ある意味、秀吉が才能が有りすぎるがゆえに、継承が出来ない、そんな気がします。
 さらに外交でも朝鮮と齟齬が出来てしまいました。ただ、秀吉としてはまだ想定の範囲内かもしれませんが。最終目標が貿易であるなら。
 苦難の豊臣政権でありますが、これで終わりではありません。この先、更に苦難の連続で、その果ては……どこまで描かれるか、楽しみですね。