高野山に現れた森村吉。増福院を訪れた後、流人の中にいる権兵衛を探す。
そこにはすっかり険の取れた権兵衛が書物を読んでいた。
森が訪れた理由。それは権兵衛に士官する為だった。権兵衛は酷い目にあったのに何故、と問う。森は航海に喩えて言う。嵐を乗り越え帰港すると、もう二度と乗りたくない。そう思うが、数日するとまた海が恋しくなる。そう話す。
権兵衛はそれを聞き、煩悩だと言った。そして自分もまた煩悩故に戦っていたと。
良い方向に変わった権兵衛。森はより強く仕えたいと思うのだった。
とは言え、部下を取る立場に今は無い。結果、高野山で一緒に行動する事なる。
二人で温泉に入っている現れたのは、身投げしようとした元僧兵。名前が無いと言っているので権兵衛は無用ノ介と呼んでいた。
そろそろバレるだろうと考えた権兵衛は自分の本名を言う。そして、これ以上関わるなとも。しかし、無用ノ介には奇妙な縁が有ったこと知る。あの増福院に書かれた落書き。それは無用ノ介の仕業だったのだ。
その事を詫びる無用ノ介。しかし、権兵衛は既に気にしてなかった。寧ろ、自分を見つめ直す切っ掛けになったと言う。そして同時に、流人達の罵詈雑言も本人達には悪気は無いと、理解を示すのだった。
九州では島津義久が降伏した。そして大友宗麟は死去する。安らかに眠る宗麟だが、この後秀吉がバテレン追放令を出すことなど知る由も無かった。
義久の降伏に異議を唱えて抵抗する者もいた。しかし、程なく平定された。
順風満帆に見える九州征伐。しかしその裏では豊臣軍に疫病が蔓延していて薄氷の勝利であった。
帰参を願い出る者がいた。しかし秀吉は冷酷に斬るよう命令する。
おねに向けた書状には白髪が増えたと書かれていた。
秀吉は思った。皆、自分の言う通りに行動すれば良いのに。そうすれば、こんな苦労などしなくていいのに。そう思ってしまったのだ。
高野山の権兵衛の元に次から次へと元家臣が集まってくる。流石に素性を隠しきれなくなってしまった。権兵衛は高野山から下山する事にした。
お世話になった流人たちに礼を言う権兵衛。流人たちは餞別にと各々鈴を送るのだった。
権兵衛と秀吉。対照的な道を歩んでいる。そう感じさせます。
敗戦後、これまでの自分を振り返り、高野山の流人に混じり、驕っていた事に気付き、本当の無を知った権兵衛。一方、秀吉は権力を極め、茶々も得る。そして才能があるが故に周りに苛つき始め、独裁的になり始める。戸次川後どうなるかと思ったら、大きなターニングポイントになりましたね。
秀吉は、前々から独裁化しそうな雰囲気ながら、押し留めていたのに、一気に傾いた感じがします。その先に待つのは……やはり、滅亡の種は秀吉が撒いてたのかな?とは思います。
さて権兵衛が次に向かうのは京になるのかな?小田原までには家康とも再開するだろうからこの後も楽しみですね。