2019年4月21日日曜日

二人の鬱憤

 今週のセンゴク権兵衛の感想。

 権兵衛は長丸に連れられ河原で石投げをしていた。
 長丸は権兵衛の事をよく調べていた。権兵衛は賢しいと言い、同時に忠告する。以前の自分だったら「九州で敗北」と聞いたら激怒し、叩き斬っていたと。
 長丸は何故斬らないのかと問う。権兵衛は自身での悩みや様々な人との出会いと助けにより辛抱が効くようになったと言う。
 権兵衛は長丸が三成に似ていると言う。悪意は無い、忠心もある、しかし人を腹立たせる性格。故に、奉行衆になり出世すべきと言う。
 しかし、長丸は三河武士に囲まれて育った故に戦場で駆け駆け回る武者に憧れていた。
 
 そして長丸は話を言い淀んだ。権兵衛は聞き流すと言う。それを受けて、大きな石を川に投げ入れると、話を続けた。
 父、家康は秀吉より銭を受け取っている。
 権兵衛は小牧長久手の戦から国を建て直す為の銭だ、と庇う。しかし、長丸はそれ以上に家臣達に秘匿しているのが納得出来なかった。
 権兵衛は言う。話を聞けば、銭を突っ返して豊臣と戦をせい、枕を並べて討死して国を滅ぼす方がマシ、そう言い始めるだろう。
 長丸は言う。自分も同じ気持ちだと。

 権兵衛は子供ぐらいある大きな石を川に投げ込む。そして、自分も同じだったと言った。だが、それで失敗し数え切れないほどの仲間を死なせた。こうして戦場に戻って武功を立てても、仲間は還らない。それに汚名も晴れぬし、恨みも消えない。
 長丸は問う、何故戻ってきたのかと。

 河原からの帰り道。権兵衛は答えた。未だに迷っている、と。
 ただ、良縁にはまった時まで腐らんように待つだけだと。

 しばらく歩くと一面のすすきが生えていた。遠くで茶を点ててる者がいる。
 道行く者にこの地の事を訪ねる。曰く、千石原だと。
 かつて源頼朝が「この草原を開拓すれば千石はとれよう」と称えたという。
 権兵衛と長丸は奇妙な縁を感じ、手を合わせるのであった。

 徳川の陣に帰り着いた長丸。賢人では無いけど、権兵衛との会話は得るものがあった。
 そして、父に陣借り出来るよう部下を通じて要請するのだった。

 秀吉はついに小田原の眼前まで兵を進めた。韮山城を攻囲していた信雄を、一部を残し、呼び寄せた。そして笠懸山に登り、小田原城を見下ろし、本陣となる巨城の築城を決定する。
 北条征伐もついに大詰めとなったのだ。


 秀忠の独白と権兵衛がなんとなく掴んだものを語る回でしたね。
 いろいろ迷いながらも、時を待つ権兵衛は等身大の人間って感じでしたね。成長してないようですけど、待つ事が出来るようになったのは立派な成長ですよね。
 後、秀忠が三成に似ている、ちょっと笑ってしまいました。豊臣と徳川で立場は違うけど考え方は一緒なんだなぁ、と。確かに秀忠は政治家として評価されていますからね。
 それと、さりげに権兵衛を賢くないって言ってる。秀家も似たこと言ってたけど。

 小田原戦もいよいよ終盤。徳川に陣借り出来た?権兵衛の活躍、楽しみです。

2019年4月14日日曜日

縁を辿って

 今週と先週のセンゴク権兵衛の感想。

 山中城を落とした豊臣軍。抵抗の強い韮山城を信雄に包囲させ、小田原へと兵を進める。そんな中、秀吉の元には多くの者が面会に訪れるのであった。

 竹林の中で、兜の後立を長くした権兵衛。秀吉に顔見せし、気付いてもらう算段だ。しかし、部下たちは批判し強引な帰参願いするよう言う。しかし、権兵衛は知らない者ならともかく知音はしないほうがいいと言う。何故と問う部下に、何となくとしか権兵衛は答えない。部下は更に言う。他家に士官する道もあった、それでも東国まで来たのは仙石家で共に復帰したいからだ、そう強く言う。
 権兵衛はその想いを理解している。しかし、だからこそ駄目だと考える。想いで突っ走ればその先にあるのは共倒れ。権兵衛はそれだけは避けたかった。皆で生きる道を歩みたいのだ。

 諸将との会見を終え、秀吉の一行が竹林を通る。道の両脇には多くの者が平伏していた。その中に権兵衛もいた。
 秀吉は気づき、仙石権兵衛なるか、そう言った。近習の者が命の如しと答えた。が、秀吉はそれ以上何も言わなかった。
 何も無かった事に憤懣やる方ない部下たち。そんな中で権兵衛は笑い声が聞こえた。そして思い出す。竹中半兵衛の事を、そしてその時秀吉と交わした会話を。
 知音に何かを求めたり利用するのを嫌う。
 秀吉もまた思い出していたのだった。

 彼の人に合掌する権兵衛。しかし、事情を知らぬ部下たちは未だ不満であった。


 箱根は芦ノ湖まで兵を進めた豊臣軍。多くの夫役が告示されていた。
 本陣となる城の普請が大規模で秀吉の目に止まりやすい。権兵衛はそう考えていた。しかし舞い込んでくるのは夫役ばかりで軍役では無い。軍役は韮山や上野武蔵方面で秀吉の目には止まりそうにない。
 村吉は言う。皆、腐りかけていると。このままでは逃散や盗人になってしまうと。
 藤兵衛は言う。有力な大名に陣借りして少しでもマシな役目をもらうべきだと。
 有力な大名へのツテが無いわけではなかった。しかし、二十年以上も昔のことである。うまく行くかは分からない。しかし、このままでいいわけ無い。権兵衛は一人その大名を訪ねるのであった。
 陣まで行くと、嘗て会ったことがある陪臣の今橋に遭遇した。早速、取り次いで欲しいと願う。だが、やはり難しかった。豊臣政権で二番目に権勢を誇っているのだ、取次の数も多い。そう簡単には会えぬのだ。
 もはや諦めるしかないのだった。

 その帰り。必死に心を鎮める権兵衛。古溪和尚に合わなかったら、とっくに心折れていた。権兵衛だって不満が無いわけでは無い。むしろ一番鬱憤が溜まっているのだ。その想いを乗せ石を蹴ろうとする。すると、それを静止する声が聞こえた。
 それは自分が蹴ろうとした石だと、目の前の身なりの良い子供が言った。
 権兵衛は間髪入れずに子供の頭を叩いた。そして言う、この石は自分の縁が導いたと。すると子供も身共が導いたとも言えると反論する。
 続いて権兵衛は自分の悩みが大きいと言い、それに対して子供は自分の方が大きいと言う。権兵衛は子供の父が自分と同じ陣借りだと思っていた。しかし、父に失望したと語った子供は父の家臣は何万人もいると言う。
 権兵衛は自分が失敗した事に気付いた。石を渡し、今あった事を忘れるように言うのだった。

 顔面蒼白で帰ってきた権兵衛。そこに、とある大名の子息が人を探していると言う話が飛び込んできた。

 変装して子供の元へと参じた権兵衛。しかし見抜かれてしまう。権兵衛が会った子供、それはツテを求めていた徳川家康の子、長丸であった。
 長丸は権兵衛に共に河原で石投げをしようと誘うのであった。

 
 なかなか上手く行かない権兵衛。秀吉との縁は強いといえど…って感じですね。そんな中でのまさかの長丸、後の秀忠の登場ですよ。まさか出るとは思いませんでした。縁が結んだまさかの出会い。ここから家康との縁が繋がるのでしょう。家康がどういう反応を見せるかも楽しみです。

 長丸とはここから意気投合するのでしょうか。この後も厚遇されてますからね。
 そういえば秀家とも意気投合してたような…権兵衛の能天気さが二代目には心地よいのでしょうかね。

 そういえば、本陣となる城は石垣山一夜城ですね。センゴクでは軽く流されるのか詳しく描かれるのか、それも楽しみです。一応、北条への揺さぶりの一貫だからきちんと描くのかな?とにかく次回が楽しみです。