2019年5月26日日曜日

力攻めへの方策

 今週のセンゴク権兵衛の感想。

 遂に、小田原を包囲した豊臣軍。蟻の這い出る隙もない、空前絶後の包囲網。
 しかし、北条の士気は依然高いままであった。
 秀吉は官兵衛に訪ねる。辯士衆を使った、敵の士気を下げる作戦はどうなったかと。
 官兵衛は答える。民衆の北条への忠誠のが勝っていると。
 内部崩壊をさせる事は出来なかった。と、なると力攻めしかない。
 だが、山中城でさえ多くの味方が犠牲になった。その倍近い大きさの小田原ならどうなる事や……。圧倒的優位にも関わらず、豊臣軍は攻め倦ねるのであった。

 当初は楽観していた秀吉だが、長期戦になると考えを変える。
 その中で、自分だけでなく、諸将の妻子を呼び逃亡や謀反を出さぬようにする。
 そして、そんな中、家康や信雄が謀反すると言う風聞が飛び交った。

 家康を訪ねた秀吉。無論、家康はそんな事はないと言い切る。しかし秀吉の心配はそこでは無かった。その風聞が飛び交っている事自体、北条が優勢と民衆が思っている。そう秀吉は考えるのだ。
 秀吉は続ける。力攻めはしたくない。しかし、敵に力攻めがない、と思われるのも良くない。然らば、誰かがこの役を買って出ないだろうか、と。
 家康と共にこれを聞いた正信は、徳川がやれ、と聞こえた。しかし、家康は実際に口にはしてない、と言う。そして秀吉は、勝手に勇んで力攻めする者が入れば、その勝敗に関わらず豊臣の威信は傷つかない、そう考えているのではと言う。

 秀吉の命を受け、官兵衛は渡辺了に会っていた。先走って戦う者を探していたのだ。
 しかし、渡辺はこれを断る。山中城で黄母衣衆に手柄を持っていかれた事に立腹していたのだ。さらに渡辺は、自分は中村家の者、やるなら官兵衛自身の家来を使えばいいのでは、と言ったのだ。

 渡辺に断られた官兵衛。次に思い出したのは権兵衛だった。しかし、今度負けたら打首にせんわけにはいかない。ないな、と思い苦笑する。
 そんな彼に、人の面をみて苦笑いするなとのいちゃもんが飛んでくる。なんと、今考えていた人物、仙石権兵衛その人であった。
 どうやら、権兵衛は官兵衛を探していたのだ。その目的は徳川からの伝令だ。
 曰く、徳川が力攻めを買ってでるとの事だ。
 官兵衛は驚き、嘘ではないかと訪ねるが、本当だと言う。
 曰く、負けなければよい。すなわち、虎口を落として勝ちにすればいいとの事だ。
 官兵衛は、権兵衛がかなり話を端折っている、と言う。しかし権兵衛は賢ければ、一を聞いて十を知れと開き直る。
 そして、城攻めの助言を官兵衛から得るようにとの家康自らのお達しである、と言う。
 権兵衛の話を聞き、家康のお達しとあれば謹んでお受けいたすと言ったのだ。


 と、言うわけで繋がる縁の中で、着々と権兵衛の逆転劇へと進んでますね。

 有利に進めているはずの豊臣が逆に攻めあぐねています。実際、兵站はギリギリと言う話は聞きますね。もう少し粘っていたら豊臣の方が瓦解してたとか。終始、豊臣の優勢って話が多いけど実情は違うものですね。大坂冬の陣でも徳川の士気がダダ下がりって話も聞くし、包囲するだけって包囲する側も大変なんだろうな。血の気の多い者達にとっては尚更。

 とにかく、様々な縁が結ばれ早川口の戦いへと繋がって行きそうです。堀久太郎の出番に期待しつつ、次回を楽しみに待ちます。

 

2019年5月6日月曜日

次々と結ばれる縁

 センゴク権兵衛136話と137話の感想。

 豊臣による小田原包囲が着々と進む中、権兵衛は山中城に戻ると言い出す。
 曰く、織田家名物試し合戦だ、と。

 先の城攻めで味方にも大きな被害が出た。だからこそ、次の小田原で被害を減らす為にも学び直すのだと言う。

 当初は不満だった部下も、試し合戦が始まれば皆夢中となった。
 滑る赤土、馬出しの仕掛け。仙石隊は北条の城を体験し、学ぶのであった。

 と、そんな彼らを見る者が。
 山中城の縄張図を描いていた黒田官兵衛である。官兵衛は殊勝な事、と言い。追い出しますか、と言った部下に対して不要と言うのであった。

 一方、大友吉統。山中城の木材を本陣に使おうと考えていた。しかし黒田官兵衛がいる事を知ると部下たちに山中城に近づくなと命令した。

 そんな中で、徳川より陣借りの許しがもたらされる。
 しかし、権兵衛は試し合戦を優先する。権兵衛は修練の大切を知っており、且つ皆が楽しんでいるからこその判断である。

 様々に結ばれた縁が、何かしらの実を結ばんとしていた。

 嘗て権兵衛と相見えた管平右衛門は早川の河口を調べていた。

 嘗て権兵衛と共に戦った可児才蔵は不貞腐れていた。韮山城を包囲する福島正則の陣に属しているが、単身小田原に乗り込むか、そう言う。

 そして、根来の僧も小田原へと向かっていた。

 本多正信より権兵衛の事を聞かされる家康。何処かで聞き覚えがある、と考える。すると口にした言葉は、糞。
 思い出したのは三方原。共にもらした権兵衛を思い出したのだ。
 家康は試し合戦が終わり次第、来るように権兵衛に伝えるのだった。

 総構を持つ小田原城。これを包囲する難点は東側。城の近くを通って進軍すれば、当然迎撃されてしまう。それを防ぐためには尾根伝いに進軍しなければならない。
 そしてその先、多古白山台地。小田原城を見渡せるここに家康は陣を築いた。
 しかし、豊臣はそこを織田信雄の陣にしようと考え、徳川を更に南へと陣を移すように要求したのだ。
 せっかく築いた陣。しかも南の平地は北条軍より攻撃される危険地帯。受け入れづらい要求だ。しかし、家康は受け入れざるを得ないと言う。
 
 徳川は酒匂川と山王川に挟まれた湿地帯の今井に新たな陣を構築し始める。仕寄りを造って安全を確保し、普請を開始する。
 しかし、敵の攻撃は激しく、陣を造るにも湿地帯で難しい。榊原康政は織田や豊臣に不満を言う兵を宥める。だが、本人もまた強い不満を抱えるのである。
 本多忠勝には支城攻めの命が下る。彼もまた不満を抱えつつ、命に従うしか無いのであった。

 試し合戦を終えた仙石隊が小田原に現れる。徳川の陣と思って来てみれば、すでに織田の陣に変わっていた。なので、織田の陣を後にして徳川の陣に移動する。その背後から、織田の兵が背中に気を付けろと小さな声で言うのであった。

 徳川の陣についた権兵衛たち。だが、まだまだ築城途中であった。そして、普請をしている者たちは皆、豊臣に不満を抱えていた。それどころか、豊臣に弓引くとき徳川に味方するか、まで言うのであった。
 徳川の不満。それは権兵衛にも理解できた。権兵衛は普請してる者と同じく泥の中に入る。そして言う。しんどい役目だが、成功させれば秀吉も出世させるしかない、と。
 自分も無茶な命令をこなし出世した。しかし、失敗して牢人になった。
 堪忍料を渡されても、誰にも必要とされないのは辛いと言う。そうして、徐々に権兵衛の話は愚痴へと移行する。
 権兵衛の愚痴を聞いて、毒気が抜けたのか、徳川の者は落ち着きを取り戻し、権兵衛に家康の居場所を答えるのであった。

 これを物見櫓から見ていた正信は家康に見所があると進言する。
 兎にも角にも人払いをして、家康と権兵衛の謁見が始まる。

 三方原以来の二人。
 家康は言う。陣借りにより三方原の借りを返した事にしていいのかと。権兵衛はそれで良いと言う。
 家康は更に言う。新たに頼みたい事がある、と。それは使番である軍使になって欲しいとの事であった。もちろん、権兵衛は了承する。そして、家康は関兼永の刀を与える。
 家康が権兵衛に望むこと。それは徳川と豊臣の仲を取り持つ事であった。


 遂にこの時が来た。って感じですね。これまで権兵衛が関わった人が多く出て、いよいよその時も秒読みですね。妙算も出るみたいで楽しみですよ。可児才蔵はずっと出ていなくて驚きでしたね。
 そういえば堀久太郎が全然出ないですね。たしかこの合戦中に……だからどこかで権兵衛と会いそうな気がするんですが。

 そして家康。若干気を置いている感じがします。三方原を思い出したせいか、それとも牢人の権兵衛なら肩肘張らなくてもいいと考えたのかな?
 いろいろ大変だけど、すっかり大大名の貫禄ですね。

 はてさて、いよいよその時が迫りそうで楽しみですよ。権兵衛の挽回劇、楽しみです。