2020年4月26日日曜日

仕置きと沙汰

 センゴク権兵衛、170話171話の感想。


 北条家の降伏は目前であった。しかし、秀吉はさらにその先をみていた。

 利休の新作の花入れ、それを秀吉は傑作と評価した。ヒネリが利いている、と言い、その訳を竹で出来ているから仕入れ値はタダあり、それを城を売ってでも入手したい者がいると言う。
 しかし、茶々はこれが利休が選びに選んだ物であると言う。茶々は美に関してはまだまだ知らぬ事が多く、勉強中であった。しかし、良さを見出そうと花入れをまじまじと見る。
 そんな彼女を何故か乳母の大蔵卿は止めようと別の話題を振る。
 茶々は反発し、美が分かると言い。花入れをそして挿してある花を誉める。それは唐の珍品、サルスベリ、であった。
 秀吉は笑う。だからこそのヒネリであった。
 それは信長の様に高転びしないよう諫言している。そう秀吉は受け取った。
 しかし、秀吉が見るのはその先。天下一統は夢の始まりであった。
 秀吉は利休の花入れを庭に投げ捨てる、その顔は笑っていた。

 家康は官兵衛に相談していた。信雄が開城交渉を急いている、と。
 このままでは、秀吉の怒りを被る。家康は最後の詰めは秀吉の使者の官兵衛が相応しいと考えていた。
 しかし、困難は北条の一族家臣郎党、民衆をいかに殺さぬよう処すべきかであった。すでに秀吉は、下々まで干し殺しにすべし、との法度を出しているのだから。

 結果、越度も見込んだ法度。秀吉の一存次第とした。
 当然、氏直は承服できない。これでは、日ノ本は秀吉の心次第でどうなるか分からない。そう官兵衛に問い詰める。
 しかし、官兵衛には返す言葉がなかった。これ以外に北条の者達を救う手立てはなかった。だから官兵衛は氏直に頭を下げた。
 氏直は、承知した。官兵衛のやるせなさを知ったからだ。

 七月五日、遂に氏直は出頭した。
 その姿はみすぼらしかった。それは民衆の北条への忠誠心を瓦解させる為でもあった。
 氏直の予想通り、民衆は情けなく思い、失望し、避難する。更に石を投げる者もいた。
 黒ずくめの衆は石を投げた者を捕えようと言うが、女頭はそれを止め、見届けるよう言う。弟が問う、北条のお殿様は立派なお姿か、と。女頭は答える、氏政に劣らず立派な姿、と。

 氏直は自分の命と引き換えに人々の助命をした。
 秀吉は官兵衛に問う、その沙汰を承諾するのが統治に効率がいいのか、と。官兵衛は答える、流言策の成否が不明故に分からぬ、と。
 秀吉は大村にこれまで調べた北条と合戦に関する巨細の提出を命じる。さらに官兵衛に家康と共に北条兵の解放と武装解除を命じ、桑原には町人、農民の解放を命じた。

 夜、茶々と共に部屋に籠る。中には大量の書類があった。
 奉行衆に任せたいが、各地の統治に出向いているから、秀吉一人でやる事にしたのだ。驚く茶々は他の家臣に任せるよう言うが、秀吉は自分一人のほうが正確で速いと言ってのけるのだった。
 茶々は、書類で気になる事を秀吉に質問していた。だが、茶々を気遣い、寝るよう言う秀吉。しかし、茶々はお寧の様に政に関わる事もある、と言い作業を手伝う。
 茶々は書類仕事に没頭する秀吉に叔父信長の影を見る。信長と同じようにこういうのが好きなのだと。
 
 農民たちが田畑に戻される。そこには秀吉の姿もあった。農民に対し、手を取り労いの言葉を掛ける。しかも、衣服が汚れるのを気にせずに田に足を踏み入れるのだ。
 当然、農民たちの歓声が響き渡る。
 官兵衛は感嘆すると共に思う、その胃袋は日ノ本のみで満たされるのか、と。

 秀吉の沙汰が下る。
 北条氏政、氏照。大道寺政繁、松田憲秀の四名が切腹。氏直は助命であった。
 氏直は納得出来なかった。が、同時に公平であると見なした。
 そして、当然奉行衆との評定があったと考えていた。
 しかし、官兵衛は言う。秀吉一人で考えた、と。
 氏直は悟る。長きに亘る我が闘争は怪物の肥大化を食い止める時間稼ぎには役に立ったかもしれぬ、と。

 城下では黒づくめの衆が土下座をしていた。未だに降伏に納得のいかない者達がいたのだ。女頭は説得するも、黒づくめの衆が痛めつけた者の身内もいたのだ、納得が行くはずが無い。
 息子が大怪我させられた女衆。その者たちに女頭は命を差し出そうとする。女衆の一人が地面から抜かれた制札で殴ろうとする。
 が、しなかった。制札を読めるのは女頭くらい、だから新しい殿様に虐められんようにしてくれ、と言う。
 その制札には一言、不殺生、と書かれていた。

 立てられた不殺生の制札。これを見て老僧は良法と言うのだった。

 
 と、これにて小田原合戦終了、ですね。
 秀吉の恐ろしさが存分に出ていましたよね。まさに破格の才です。当然その才は日本だけで納まるはずなく……官兵衛や、利休もかな?心配しているけど、どうなるか。結果は分かってるのだけど、センゴクで描いてくれるのかな?
 氏直もよかったですね。どこか厭世的で儚さがありました。その中で成長がありよかったです。他の創作物だと氏政ばかり出ますからね。その代わりセンゴクは氏政の影が薄かったけど。一応、過去編とかで厳格で情に厚い人って感じでしたね。
 さて、あとは権兵衛への沙汰ですかね。そしてその先は……
 関ケ原編、熱望しますよ。お願いします。

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