黙々と飯を食べる権兵衛。その傍らの藤は平静を保とうとするが、動揺を抑える事が出来なかった。
そんな中、侍女が現れる。藤に鏡の売却を尋ねる為だ。藤は売却すると言い、そして権兵衛に武具をどうするか聞く。権兵衛は少し待ってくれと言うと、藤は激昂してしまった。
孫曰く、藤にとっての鏡は権兵衛にとっての武具と同じだと。
それを聞き、権兵衛は手入れが終わったら売却する、と藤に言うのだった。
一方、大坂城では秀吉が此度の不始末に激昂していた。
その怒り狂う様に奉行らは皆、権兵衛に厳罰が下ると考えていた。
だが小一郎だけは違った。その怒りに嘗ての情があると見て厳罰にならないと考えた。
権兵衛への処分は改易に決まった。
奉行達は意外に軽い処分と訝しんだ。そんな中、三成はあの怒りは演技では無いかと察する。
元々、島津との火種を作ること期待して権兵衛が派遣されたのだ。また、徳川との情勢変化で本隊の九州派遣も遅れた。だからこその、処分決定では、と。
三成の推察は当たっていた。秀吉はどう転んでも良いようにお金の工面をしていた。そう小一郎に言う。しかし、小一郎は渋い顔をする。権兵衛に対する情が無く、子飼いは銭には換えられぬ、と言う。そして、自分しか諫言出来る者がいないと。
秀吉はそれを聞き、利休に権兵衛の事を逐一報告するよう命ずる。
仙石家を畳む日が来た。
他家へ婿養子になる孫を始め、家臣たちもそれぞれ新たな道を歩む。
戦傷を負った久次へ権兵衛は書状を送る。彼はその後、後藤又兵衛と共に戦ったり水野家の客分になったりした。そんな中でも仙石家との誼は続いたと言う。
覺右衛門はその武勇から前田家に仕えるようになる。
藤は髪を切り、権兵衛は頭を剃る。
何も考えずにここまで来て、戦い、破れ、失った。
二人は何もないところから再び歩き始めるのだった。
と、言うわけで権兵衛は再スタートですね。
そう言えば、センゴクの各部は十五巻刻みになっているけど、そろそろ終わりも近そうなのかな。刊行予定から考えると4巻分が小田原で終了するのかな。
その先があるのか無いのか、楽しみにその時を迎えたいですね。
あと、豊臣家の崩壊の萌芽が見られたり。天下人としての意識の変化、周りの考えなど秀吉の、豊臣の天下が長くないと印象付けてますね。この当たりも権兵衛の物語の先を期待してしまいますね。
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